Facebook広告は、数あるWeb広告のうちの一つ。SNSでの広告配信を検討しているWeb広告初心者の方にとって、Facebook広告の基本はまず理解しておきたい内容でしょう。本記事ではFacebook広告の特長や種類、出稿の際に考えるべきこと、出稿手順などについてご紹介します。後半では万が一審査に落ちてしまった場合に見直すことにも触れているので、ぜひ最後まで読んでFacebook広告の運用を始めてみてください。
※本記事の情報は2022年3月時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。
Facebook広告って何?
「Facebook広告」とは、SNSの1つであるFacebook上に出せる広告の総称です。Facebookは原則実名でアカウントを作成し、身近な人とつながりを持ちながら世の中のことを知ったり、自分の近況を投稿したりするSNSです。
世界中で毎日17億9千万人以上が利用しているため、Facebook広告では多くのFacebookユーザーの中からアピールしたいユーザーにターゲットを絞った広告の配信が可能です。すでに商品やサービスに興味を持ってくれている人にアプローチできる他、まだ商品やサービスのことを知らないユーザーに対してもアプローチでき、新規顧客の拡大に役立てられます。
目標を達成できるようサポートしてくれる機能もあることから、Facebook広告は初心者の方でも比較的始めやすい広告と言えるでしょう。もちろんですが、専門的な知識を生かして独自にカスタマイズすることも可能です。出稿のハードルが低く幅広い目的に対応できるため、大企業から地域に根ざした中小ビジネスまで多くの広告が出されており、2020年6月時点では900万件を越える企業やお店、個人が広告を出しています。
※出典:Meta for Business「Facebookで、どこからでもビジネスを成長させましょう。」
利用しているユーザー層
総務省が公開している「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、Facebook広告を利用している人の割合は男性が33.4%、女性が32.1%と男女比率はほぼ同じです。また同データを年齢別で見てみると、10代の利用率は19.0%と他のSNSと比べて低く、もっとも高い30代が48.0%、次いで40代が39.0%となっています。このことから中堅層や、キャリア層のビジネスパーソンが利用者の中心となっていることが伺えます。そのためBtoCの商品やサービスだけではなく、BtoBの商材のPRにも向いている媒体と言えます。
※出典:総務省「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
Instagram広告とは別物?
「Instagram広告」は、Facebookと同じくSNSの一つであるInstagram上に出せる広告の総称です。Instagram広告とFacebook広告は広告の配信面が異なりますが、どちらも同じMeta社が運営しているSNSであるため、一つの管理画面を利用して広告を出し分けることができます。
利用しているユーザー層も異なります。先ほどの「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を見てみると、Facebookユーザー層の中心は30~40代の男女だったのに対して、Instagramは10~20代の若い女性がメインターゲットです。
またInstagramは画像や動画の投稿がメインのSNSなので、Facebook広告と比べるとビジュアルがより重要になります。あからさまに広告とわかる画像や動画より、他の投稿になじむような広告の方が適していると言えるでしょう。もちろんPR表記はあるのですが、中には一見広告とは気がつかないような画像や動画もあり、ユーザーが一般の投稿を閲覧する際に自然と広告も目に入るような仕組みになっているのも、Instagram広告の特長です。
Facebook広告の種類は?
Facebook広告は
- 写真広告
- カルーセル広告
- 動画広告
- コレクション広告
の大きく4種類に分類されています。それぞれの特長を理解した上で、自社で広告を出す場合はどの方法が適しているかを検討してみてください。
写真広告
写真広告とは、Facebook広告の中でもシンプルなタイプの広告です。1枚の画像とメインテキスト、見出し、説明で構成されています。ユーザーを広告の遷移先に設定したWebサイトなどへ誘導したい場合や、ブランド・商品・サービスなどの認知度を高めるために使うのがおすすめです。
カルーセル広告
カルーセル広告とは、一つの広告に複数の要素を盛り込める広告の出稿方法です。画像や動画、見出し、リンクなどを設置できます。画像や動画を最大10枚設定でき、ユーザーは表示されている画像や動画をスワイプ、または矢印をクリックすることで、それらを次々と見ることができます。
またカルーセル広告ではそれぞれの画像や動画に対して異なるリンクを設定できます。商品画像を並べて、それぞれの画像をクリックすると各商品情報ページにジャンプするようにしたり、ブランドのストーリーを順に画像で紹介したりといった活用方法があります。
動画広告
「視覚」と「聴覚」に訴えかける動画広告のマーケットは、年々拡大傾向にあります。Facebook広告の動画広告なら、商品やサービスの特長を分かりやすく説明したり、動きや音で注目を集めたりすることで、見た人により鮮明な印象を残せるでしょう。作成した動画をアップロードできる他、広告マネージャの機能である動画作成キットを使って動画を作ることも可能です。
コレクション広告
コレクション広告は、メインビジュアルの画像または動画と、その他の画像の2部構成形となっている広告です。より多くの情報でユーザーの興味を引けるので、商品やサービスについて詳しく調べる、購入するといったアクションを引き出しやすくなるでしょう。これまで紹介してきた各要素を組み合わせた、簡易的な「ランディングページ(LP)」のようなものと考えると、イメージしやすいかもしれません。
テンプレートには
- インスタントストアフロント
- インスタントライフスタイルカタログ
- インスタント顧客獲得
の3つがあり、それぞれユーザーが商品を発見してからスムーズに次の行動へ進むことができるデザインになっています。
なおコレクション広告はモバイルデバイスのみに対応しており、パソコンには表示されません。
Facebook広告を検討する前に考えること
Facebook広告でより高い成果を得るためには、ただやみくもに出稿してはいけません。どんなターゲットに向けて、どのようなタイプの広告を配信するのか、するかなどを出稿前に掘り下げて検討しておきましょう。考慮しておくべきポイントには、以下のようなものがあります。
Facebook広告のポリシーに反していないか
Facebookでは広告を出稿するにあたってのポリシーが設定されており、それに基づいて広告の掲載が許可されるかどうかが決まります。審査のプロセスやターゲットの設定の仕方などの他、禁止や制限の対象となるコンテンツも明確に定められています。もし該当する広告を配信しようとすると、審査に落ちてしまったり、ユーザーへの表示が制限されてしまったりするかもしれません。
禁止されているコンテンツには、差別的な行為やタバコおよび関連製品、人種や民族などの個人的特質など、31の項目が定められています。また制限コンテンツには、アルコールや市販薬、ブランドコンテンツなどといったものがあります。ポリシーに反する広告とみなされてしまうと修正が必要になり、予定していたスケジュールでの広告配信ができなくなってしまうため、出稿する前に必ず確認しておいてください。また違反の内容次第では、アカウントの停止や広告を掲載する機能の制限などの処罰が下される場合もあります。
狙うべきターゲット
Facebook広告は基本的に、広告と関連性が高いユーザーへ自動でターゲティングを行うようになっています。これにより興味を持ってくれそうなユーザーに絞って、広告を配信できる仕組みです。
加えて以下の3種類のオーディエンス選択ツールを利用すると、ターゲットをさらに絞り込めます。
- コアオーディエンス:年齢、興味・関心、地域など
- カスタムオーディエンス:顧客リスト、アプリの利用者、過去にWebサイトを訪れたユーザー
- 類似オーディエンス:既存顧客と同じ特長を持つ、潜在層のユーザー
Facebook広告に限りませんが、広告の精度を高めるためには、事前に誰に対してメッセージを届けるのかを考えておく必要があります。自社商品やサービスを使っている人はどのような人なのかを調査、もしくはどのような人に使ってほしいのかをイメージし、絞り込むべき項目を洗い出しておくことをおすすめします。
また作成する画像や動画の内容についても、ターゲットを意識することが大切です。彼らがどのようなデザインや表現を好むか、どのような悩みを持っているのかなどを分析することで、よりターゲットにささる広告を作れるでしょう。
※出典:Meta for Business「広告を活用して将来的に顧客になりそうな人とつながりましょう。」
クリエイティブに抜け漏れはないか・内容は適切か
ユーザーにとって、Facebook広告はいわば情報の入り口です。広告をクリックしてWebサイトなどに誘導され、そこで商品やサービスに関する詳しい情報を知るという流れになります。だからこそ画像や動画、遷移先のWebページなど、ユーザーに見せるべきクリエイティブと情報がきちんとそろっていなければなりません。
なおFacebookではクリエイティブのパフォーマンスを上げるため、画像内に盛り込むテキストを20%未満にするよう推奨しています。クリエイティブの情報量が適切かどうかも、合わせて確認しておくとよいでしょう。
※出典:Meta for Business「広告画像のテキストについて」
最終的にどうなれば目標達成なのか
Facebook広告の目的は「認知」「検討」「コンバージョン」の3つから選択可能です。これから出稿する広告がどれにあたるのかを、事前に決めておきましょう。
商品やサービスについて、ユーザーに関心を持ってもらいたい場合は「認知」を選びます。ユーザーに商品の購入を検討したり、自らブランドについての詳しい情報を集めたりして欲しいのであれば「検討」にしましょう。ビジネスの初期段階では、これらの目的で広告を行い、認知度アップと新規顧客を獲得することが大切です。
またビジネスが成長するにつれて、「購入に至る」「サービスを予約する」などの具体的なユーザーのアクションが、広告の目的として重要になります。この段階では「コンバージョン」を選んでください。
※出典:Meta for Business「適切な目的を選択する」
Facebook広告の出稿手順
Facebook広告を出稿するには、いくつかのステップがあります。ここでは大まかな流れをご紹介します。
出稿手順の説明の前に、Facebook広告の配信に必要なアカウントやツールについて、簡単にご紹介しておきます。
- Facebookアカウント:Facebookユーザーとしての個人アカウント
- Facebookページ:個人アカウントと別に開設できる、複数人で運営できるページ
- ビジネスマネージャ:Facebookページや広告アカウントを複数人で管理できるツール
- 広告アカウント:Facebook広告を配信するためのアカウント。Instagram広告にも使える
- 広告マネージャ:Facebook広告の作成や管理を行うためのツール
どのように作業を進めればいいのか、手順を確認しながらシミュレーションしてみてください。
Facebookアカウントの準備をする
Facebookのアカウントを持っていなければ、初めに作成する必要があります。Facebookのトップページに「新規アカウントを作成」というページがあるので、登録フォームの案内に従って必要事項を入力していきましょう。アカウントの作成はパソコンでもスマートフォンでも可能です。
Facebookビジネスマネージャのアカウントを開設する
次にFacebookビジネスマネージャの開設作業に移ります。個人のFacebookアカウントでログインをして必要情報を入力しましょう。Facebookページを持っていれば広告配信は可能です。しかし複数のページやアカウントを一括管理したり、Instagram広告の管理をしたりするためには、ビジネスマネージャのアカウントが必要です。幅広いFacebook広告を展開したい場合は、開設しておきましょう。
ビジネスマネージャアカウントの作成は「ビジネス及びアカウントの名前」「自分の名前」「業務用のメールアドレス」などを入力するだけなので、初心者でも比較的簡単に登録できるはずです。
Facebookページを追加する
まだFacebookページを登録していなければ、このタイミングで追加します。ビジネスホームの中の「ビジネス設定」→「アカウント」→「ページ」の順番でクリックします。すると右側に「追加」というボタンがあるのでこちらをクリックして「ページを追加」を選択しましょう。
広告アカウントを作成する
広告アカウントの作成はビジネスホームの中の「ビジネス設定」→「アカウント」→「広告アカウント」→「追加」の順番でクリックしてください。次に「新しい広告アカウントを作成」をクリックしましょう。ダイアログが立ち上がりますので、「広告アカウント名」などについて設定します。
新規でキャンペーンを作成する
まず広告マネージャの管理画面にある広告キャンペーンを設定します。Facebook広告の場合、「キャンペーン」→「作成」の順番で設定します。設定画面では広告を出す目的に合わせて購入タイプなどを決めていきます。
するとキャンペーンの目的が現れますので、その中で自分たちの広告に該当するものを選択してください。最後にキャンペーン名などを設定すれば、キャンペーン作成作業は完了です。
広告セットを作成して詳細項目を設定する
広告セットでは、広告のオーディエンスや配置、予算・期間とより詳細な設定を行えます。オーディエンスとは広告を配信するターゲットユーザーの設定です。前述したように、基本情報をもとにした「コアオーディエンス」と、Facebookのデータでマッチしたユーザーに配信する「カスタムオーディエンス」、ビジネスに関心を持っている可能性の高い「類似オーディエンス」の中から選択します。
配置とは広告をどこにレイアウトするかの設定です。自動配置を選択すれば、Facebookが自動で適切な掲載場所を決めて、ユーザーに広告を表示してくれます。また手動配置を選択すれば、自分で掲載場所を選択できます。初心者であれば、自動配置の方が良いでしょう。ただし、広告の配信先をFacebookのみ、Instagramのみにしたい場合は、手動配置を選択する必要があります。
最後に予算と掲載期間を設定します。予算は1日あたりの上限目安を設定する「1日の予算」と、広告を掲載する期間全体の予算を定めておき、原則均等に自動配分する「通算予算」の2つから選択できます。
広告を作成する
次に広告の作成です。先ほどご紹介した4つの種類から適したものを選択してください。
次に掲載する画像の設定を進めましょう。最後に広告とともに表示するテキストや、遷移先のURLをそれぞれ設定して完了です。
支払方法を設定
支払い方法を設定するには、「ビジネス設定」→「支払い」の順番でクリックします。支払い方法は、クレジットカードもしくはデビットカード・PayPal・銀行振込のいずれかから選択できます。クレジットカードはVISA・MasterCard・JCB・アメリカンエキスプレスが利用可能です。
なおクレジットカードを設定する場合、有効期限に注意が必要です。もし有効期限を過ぎてしまうと広告配信もストップしてしまうので、満期が近くなったら新しいカードの情報に設定を変更してください。
Facebookピクセルの発行
広告の効果を分析しやすくなるので、Facebookピクセルを発行しておくといいでしょう。
Facebookピクセルを発行するには「イベントマネージャ」→「データソース」の順番でクリックします。次に「データソースをリンクする」→「ウェブ」→「リンクする」と進んでください。次の画面に「Facebookピクセル」という項目があるのでこちらにチェックを入れ、「リンクする」をクリックします。「ピクセル名」と「ジャンプ先のURL」を入力して「手動でピクセルコードをウェブサイトに追加」→「コードをコピー」をクリックしてください。
最後にこのコピーしたコードを遷移先のWebサイトに埋め込みます。タグマネージャーを利用したり、直接headタグ内へ貼りつけたりと、遷移先のWebサイトの仕様によってその方法はさまざまです。
審査
広告の設定が完了するとFacebookによって審査が行われ、原則24時間以内に審査結果が通知されます。もし非承認となった場合は理由が記載されているので、そのメッセージを参考にして広告の内容を見直してください。
審査落ちの際に見直すこと
万が一審査落ちしてしまった場合はその理由を確認し、内容を改善してから改めて審査を受けましょう。審査に落ちる理由として代表的なものには、以下のようなものがあります。審査に出す前にチェックしておくのもおすすめです。
ユーザーにとって有益でない広告
ユーザーにとって有益でない広告は、審査に落ちてしまう可能性があります。
具体的には「ユーザーが誤解しやすい文言が入っている」「大げさに煽っている」「宣伝ばかりで必要な情報が入っていない」「オリジナルの内容が少ない」などの広告は、審査に通過できないことがあります。また情報を故意に隠すような広告や、スパムのような広告、ユーザーにとって煩わしい表示の広告も、審査に落ちてしまう傾向にあります。
※出典:Meta for Business「広告の品質とパフォーマンスを高めるために避けるべき広告の特徴」
広告と遷移先の関連性はあるか?
Facebook広告の内容とLPなどの遷移先の内容が関連していない場合、審査で落とされてしまう可能性があります。遷移先が機能していない場合や、完成していない場合も同様です。
遷移先と広告の内容が関連しているか、ユーザーが広告をクリックしたときに正しく遷移先の内容が表示されているかを確認しましょう。
ブランドアセットが正しく使用できているか?
Facebook広告の広告ポリシーの中には、Facebookのブランドを広告に使用する際の決めごとが明示されています。ブランドのロゴやマークをメインとなる箇所に持ってきてはならない、商標を改変しないなどのルールがあり、正しく使えていない場合は審査に落ちてしまう可能性があります。誤って「Facebook」が「facebook」になっているだけでも商標改編とみなされてしまうので、細かく確認してみてください。
※出典:Facebook「[広告ポリシー」
制限コンテンツを含む場合、正しい設定ができているか?
禁止コンテンツが審査に落ちてしまうのはもちろんですが、制限コンテンツも正しい設定ができていないと、審査で落とされてしまう可能性があります。例えば酒類の広告の場合、日本では20歳未満の飲酒が禁止されているため、配信ターゲットを20歳以上に設定していなければ審査を通過できない可能性が高いです。出会い系のようなサービスや暗号通貨関連のサービスなども制限コンテンツに含まれているので、該当している場合はしっかりと確認しましょう。
まとめ
Facebook広告は細かなターゲティングができるので、広告を届けたいユーザーにピンポイントで配信できるというメリットがあります。一方で設定項目が多く作業もその分増えるので、初心者の方は難しい、面倒くさいと感じてしまうかもしれません。とはいえきちんとルールを踏まえた上で手順を追っていけば、初心者の方でも比較的簡単に広告を配信できる仕組みになっています。ぜひ本記事の内容を参考にして、Facebook広告を使ったマーケティング戦略を考えてみてください。
「より簡単に広告を配信したい」「知識のある人がおらず不安だ」といった企業や店舗には、SNS広告のサポートを行っている、インターネット集客ツール「アドスタ」を活用するのもおすすめです。アドスタはWeb広告初心者でも使いやすい仕組みになっており、これまでに500社以上の企業が導入しています。6日間の無料トライアルもあるので、まずは試してみてはいかがでしょうか。