TikTokを収益化するための6つの方法│企業が収益を得るにはどうするべき?

2017年にリリースされたTikTokは、月間アクティブユーザー数10億人以上を誇る、世界規模のスマートフォン向け動画プラットフォームです。中国のByteDance社が運営しており、続々と使える機能が増えていることから、近年では企業がTikTokを使ってSNSマーケティングを行うケースも多いです。

本記事では、企業におけるTikTokの収益化について解説します。せっかくTikTokを運用するのなら、最終的に企業への利益につなげたいもの。ぜひ最後まで読んで、自社の商品やサービスに合った収益化の方法を検討してみてください。

出典:TikTok「10億人の皆様に、ありがとうございます!!!」

https://newsroom.tiktok.com/ja-jp/1-billion-people-on-tiktok-thank-you(2022-11-29)

※本記事は2022年11月現在の情報です。

TikTokの特長

TikTokは、アプリの中で動画を閲覧・投稿できる動画プラットフォームです。コンテンツの中心は比較的短尺の動画であり、ユーザーは画面をスワイプするだけで次々と他の動画を表示させることができます。

TikTokの最大の特長は、動画を撮る段階から投稿するまでの一連の流れを、アプリ内で完結できる点と言えるでしょう。撮影した動画を編集できるのはもちろん、撮影前にフィルターや再生速度を決めておいたり、人気のBGMを選んでから撮影したりといった設定ができるため、複雑な編集技術を必要としません。

またTikTokにはSNSとしての側面もあり、アルゴリズムに基づく「おすすめ」動画を表示させる機能や、気に入った動画に「いいね」やコメントをする機能も実装されています。

そのためTikTokに高く評価されるようにアカウントを運用することで、より多くのユーザーに動画を見てもらえる可能性が高まります。商品やサービスの知名度向上やファンづくりにもつながるでしょう。

課金をして「おすすめ」の中に広告を出稿したり、「TikTok LIVE」というリアルタイム配信を行ったりすることもできます。

TikTokは一般人でも収益化できるSNS

インスタグラムやYoutubeなど他の一般的なSNSと同様、TikTokのユーザーアカウントは、個人でも企業でも作成・運用が可能です。

TikTokの収益化の仕組みはいたってシンプルです。アルゴリズムや機能をよく理解できていれば、比較的簡単に取り組みを開始できるでしょう。特に個人のアカウントの場合は、企業からの依頼を受けたり、TikTok自体の機能を活用したりと収益を得る手段も多いです。大規模な予算や専門的な知識はほとんど必要ないため、副業として収益を得ようとする個人アカウントも多くみられます。

TikTokで収益を得る方法は大きく分けて2つ

TikTokの収益化には、直接的な方法と間接的な方法があります。直接的な方法では、運用するアカウントのフォロワーなど第三者ユーザーからの人気を、TikTokの機能やビジネスの仕組みに利用することが収益につながります。

間接的な方法では、運用するアカウントと外部の情報をリンクさせ、フォロワーなど第三者ユーザーをアプリの外へ誘導します。

TikTokの運用で直接的に収益を得る方法

TikTokの運用でアカウントの運用者が直接的な収益を得る方法は、大きく分けて以下の4つです。

  • TikTo LIVEでの投げ銭
  • アフィリエイト
  • PR案件
  • 音楽利用

それぞれ詳しく解説します。

TikTok LIVEでの投げ銭

TikTokには通常の動画投稿の他に、リアルタイムの映像を配信する「TikTok LIVE」という機能があります。アカウントを運用している配信者とユーザーが双方的に交流でき、ユーザーは視聴しているLIVEの中で、LIVE動画ギフトという機能を利用できます。LIVE動画ギフトは2021年3月より始まった比較的新しい機能です。

LIVE動画ギフトでは、動画を視聴したユーザーが自身の好きなタイミングで、配信者に動画ギフトを贈ることが可能です。

TikTokでは、ユーザーは1枚あたりおよそ2.5円のアプリ内で使えるコインを購入でき、そのコインを使って動画ギフトを購入します。動画ギフトはコイン1枚で買えるものから、およそ5万円相当の2万枚で購入できるものまでさまざまです。

配信者がユーザーに動画ギフトを送ってもらい、ギフト収益を得るには、以下の条件をクリアしている必要があります。

  • フォロワーが1万人以上いる
  • 動画の審査に通過している
  • アカウントを登録してから30日以上経過している
  • 利用年齢条件を満たしている(日本では20歳以上)
  • 政府、政治家、政党が使用していないアカウントである

ユーザーから配信者に贈られた動画ギフトは「ダイヤモンド」として集計されます。明確には公言されていませんが、30〜50%をTikTokに換金してもらうことができ、配信者の収益となります。配信者がLIVE動画ギフトでより多くの収益を目指すには、ユーザーの興味関心に応え、配信内容に共感してもらったり、好意を持ってもらったりするような工夫が大切です。

なおLIVE動画ギフトの年齢制限は、ギフトを贈るユーザーも対象となります。日本では20歳未満のユーザーはギフトのやりとりができないため、TikTok LIVEの収益化を目指す場合は、20歳以上をメインターゲットとした方が良いでしょう。利用条件にも含まれる話ですが、TikTokのコミュニティガイドラインや利用規約を守った上で、ユーザーに選ばれる配信を心掛けてください。

アフィリエイト

TikTokでは、ルールの範囲内で「アフィリエイト」を行うことも可能です。

アフィリエイトはWeb広告の種類の一つで、TikTokの場合は収益を得たいアカウントが「アフィリエイター」として広告の媒体主となり、動画を閲覧したユーザーを商品やサービスの購入ページといった成果点へ誘導します。商品やサービスの販売者などから、成果に応じた報酬をもらうことで、TikTokを収益化できます。

案件によっては、広告主とアフィリエイターをつなぐ「アフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)」といった企業が間に入るケースもあります。

PR案件

アカウントの運用者がビジネスとして依頼を受け、第三者へ企業の商品やサービスを宣伝することで、依頼者から報酬を受け取る「PR案件」という手法もあります。

依頼者は依頼先のアカウントが持つユーザーへの影響力に期待して、アカウントの運用者に対して直接案件を依頼、認知度UPや販促効果を狙います。アフィリエイトと異なり、PR案件は、企業が主となって行う宣伝と言えます。

報酬額は案件によって変わりますが、一般的には動画を1本投稿することで、投稿したアカウントのフォロワー数×1〜3円ほどが支払われます。依頼主や取り扱う商品、投稿者の知名度などによっては、動画の再生数や平均的な再生時間などが考慮される場合もあるでしょう。

なおPR案件もアフィリエイトと同様に、代理店を媒介する場合があります。

音楽利用

TikTokの動画は、動画そのものの音声とは別に、アプリの機能によってBGMを付けることが可能です。付けられるBGMには過去に他のユーザーが投稿した動画の音声と、TikTokと提携している音楽配信サービスによる楽曲の、2つのパターンがあります。そのためオリジナルの音楽を作成している場合は、音楽配信サービスを通して、TikTokから自身の音源の使用料を得ることができます。

とはいえ音楽利用料としての収益は、そこまで大きな額は見込めないかもしれません。音楽利用の収益率などは公開されていないため、実際にどのくらいの収益が見込めるのかは不明瞭です。1再生につき1円以下だったという声もあります。

米国ではTikTok Pulseによる収益化が開始

TikTokは2022年5月に、新たな機能「TikTok Pulse」を発表しました。現段階ではアメリカのみでのリリースですが、いずれは日本でも使えるようになる可能性があるため、収益化を目指すなら押さえておきましょう。

TikTok Pulseは、TikTokが「人気上位である」と認識したユーザーが広告収益を得られる機能です。利用すると、自身の動画の後に続く形で広告動画が自動再生され、広告費の50%を収益として受け取れるようになります。

TikTok Pulseを利用できるユーザーの条件は、以下の通りです。

  • フォロワーが10万人以上居る
  • TikTokの上位4%の動画である

狭き門ではありますが、すでにTikTokである程度の知名度やフォロワー数を獲得できていれば、導入後はすぐに収益を得られるでしょう。

出典:TikTok「TikTok Pulse: bringing brands closer to community and entertainment」

https://newsroom.tiktok.com/en-us/tiktok-pulse-is-bringing-brands-closer-to-community-and-entertainment?utm_source=COMMSTWITTER&utm_medium=SOCIAL&utm_campaign=20220504(2022-11-16)

企業アカウントが実施できるのはTikTokライブでの投げ銭のみ

企業としてTikTokを運用する場合、直接的に収益を得られる方法は、原則TikTok LIVEでの投げ銭のみです。

その他の方法は、一般的には個人として運用するアカウントの収益化に用いられます。中でもアフィリエイトやPR案件は、原則企業からの依頼を受けてアカウントから情報を発信し、報酬を受け取る構図です。つまり企業の場合、投げ銭以外の方法でTikTokを通じて収益を得るには「個人アカウントに報酬を支払うことで最終的な利益につなげる」必要があり、Web広告の広告主の立ち位置となります。

また多くのSNSと同様に、アプリの外側で間接的に収益を生む方法もあります。

TikTokの運用で間接的に収益を得る方法

TikTokではプロフィールにURLを追加することが可能です。またアカウントを他のSNSと連携させたり、外部サイトの情報と連携させたりすることもできます。こういった機能を活用すると、主に以下の2つの方法で間接的に収益を得られます。

  • ECサイトへの流入を増やす
  • 実店舗の利用を促進する

一つずつ解説します。

ECサイトへの流入を増やす

TikTokから自社のECサイトなどへの流入を増やせると、ユーザーが商品やサービスを購入するまでの導線となります。購入につながればもちろん収益を得られるため、「TikTokから間接的に収益を得られる方法」と言えるでしょう。

動画を閲覧したユーザーや、アカウントに興味を持ってフォローしてくれたユーザーを外部のWebページに誘導するには、いくつか手段があります。

まず挙げられるのが、プロフィールへのURLリンク設置です。TikTokでは、フォロワーが千人以上のアカウントは、プロフィールにECサイトなどのリンクを貼ることができます。運用開始直後は難しいかもしれませんが、動画投稿をコツコツと続けてフォロワーを増やすことで、費用をかけずに集客できるツールに成長させられるでしょう。

またプロフィールにはTwitter、インスタグラム、YouTubeへのリンクを貼ることも可能です。SNSリンクには特に条件がなく、初めから設定できるため、既に収益化できているSNSがあれば必ず設置しておいてください。

コメント欄に商品やサービスの情報を得る手段を記載しておくという方法もあります。動画にコメントをしようとユーザーがコメント欄を開くと、過去に他のユーザーが書き込んだコメントを閲覧することができます。この仕組みを利用して、あらかじめ自身のコメント欄へECサイトの名前や商品名、サービス名などを書き込んでおくと、ユーザーが後から閲覧した際に商品やサービスを探す手がかりとなります。「〇〇で検索してください」といった形で、ECサイトが上位にヒットする検索ワードを書き込むのも良い方法です。

さらには、TikTok広告を出稿するのもおすすめです。一定の費用は掛かりますが、動画がより多くのユーザーに表示される他、動画上の「詳細を見る」というテキストバナーや任意のバナー、プロフィールアイコンから、指定のURLへダイレクトにリンクさせることが可能です。また動画の終了後は画面が停止し、「詳細を見る」のバナーやアプリのダウンロードアイコンが表示されます。ユーザーは簡単な操作で商品やサービスの利用を開始できるため、分かりやすく情報を伝えられる方法と言えるでしょう。

実店舗の利用を促進する

ECサイトへの誘導に加えて、実店舗がある場合は以下の方法も押さえておきましょう。

  • 位置情報を掲載する
  • 問い合わせ先を明記する
  • キャンペーンを紹介する
  • グルメリンクを貼る

TikTokの動画には、位置情報を設定することができます。位置情報を設定しておくと画面の左下付近にバナーが表示され、動画を閲覧したユーザーがそれをタップすることで、同じ位置情報がついた投稿の一覧を見てもらうことができます。またユーザーが同一画面に表示されている住所をタップすると、今度はマップが表示されます。さらにはアプリ内のマップからAppleマップやGoogleマップに遷移して、経路を調べてもらうことも可能です。

ビジネスアカウントを運用していれば、プロフィールにメールアドレスを掲載することもできます。ECサイトなどを通さずに直接店舗に関する問い合わせを受け付ける場合は、表示させておくと良いでしょう。見込み顧客からの問い合わせを、個別に受けられるようになります。

投稿内で店舗を紹介する場合は、商品やサービスを宣伝するだけでなく、来店につながるようなキャンペーンを告知するのもおすすめです。動画ならではの活用方法として、店舗までの道順を紹介したり、目印となる店舗の外装や看板を紹介したりすると、ユーザーが店舗へ足を運ぶかどうかの検討材料の一つとなるでしょう。

飲食店を運営している場合は、「食べログ」へのリンク方法を押さえておいてください。2021年4月より始まった機能で、投稿する動画の編集画面で、レストラン検索・予約サイトの食べログに掲載されている店舗のページへのリンクを表示させるよう設定できます。開始当初は一部のユーザーのみが使える機能でしたが、徐々に使えるユーザーが増えてきているようです。

設定の手順は以下の通りです。

  • 動画の編集後の画面で[リンクを追加]をタップ→[食べログ]をタップ→自動で食べログに遷移する
  • 食べログで検索する→該当の店舗をタップする
  • 画面下部に表示される[動画に追加]というボタンをタップする

出典:TikToK「TikTok、動画投稿時に「食べログ」へのリンク設定ができる新機能を開始!動画から店舗ページに直接アクセスし、詳細情報の確認が可能に」

https://newsroom.tiktok.com/ja-jp/tiktok-launches-a-new-feature-that-allows-users-to-set-up-a-link-to-food-log-when-posting-videos(2022-11-29)

間接的な収益化の注意点

TikTokではエンターテインメント性の高い動画を投稿しているアカウントが人気のため、多くのユーザーの関心を集めているアカウントは、宣伝以外の投稿を工夫して行い、ビジネス感をあまり出さないようにしている傾向にあります。中には人気のBGMを付けてダンスをしたり、ビジネスとは全く関係のないコンテンツをシリーズ化したりしているアカウントもあります。

そのためTikTokで間接的な収益を得たい場合も、飲食店の仕込み風景など裏方の情報や、ファッションの流行などのトレンドの情報を盛り込んで、まずはユーザーの興味を引きましょう。また親近感を持ってもらうことも大切です。商品やサービスを宣伝して終わりではなく、投稿する動画やアカウント自体に魅力を感じてもらえる運用を心掛けることをおすすめします。

企業がアフィリエイターやTikTokerにアフィリエイトやPR案件を依頼するメリット

企業がアフィリエイターやTikTokerに宣伝してもらうメリットは、施策開始から時間を空けずに大きな反響を得られる点にあります。自分たちでコツコツとアカウントを育て、フォロワーやファンを増やすには、時間と労力が掛かるもの。そこで、ユーザーの興味を引き出すノウハウをすでに実践している彼らに宣伝を依頼すると、すぐに成果を上げられる可能性があります。依頼費用は掛かるものの、その他のコストを抑えつつ、間接的な商品やサービスの販促につなげられるのです。

企業がアフィリエイトを依頼すると、アフィリエイターから発信される情報が販促の看板的存在となります。媒体主となるアカウントの影響が大きいため、ターゲットに刺さる情報発信ができるアカウントに宣伝してもらえれば、より大きな反響が期待でき、収益につながるでしょう。PR案件は、アフィリエイトよりもさらに影響が大きくなります。しっかりとリサーチした上で、商品やサービスのブランディングにつながり、且つ、ターゲットへの影響力が大きいアカウントに依頼しましょう。

直接的な方法と間接的な方法を使い分けて効率よく収益化しましょう

本記事では、TikTokの収益化について、直接的な方法と間接的な方法を合わせて6つご紹介しました。直接的な方法は大まかに

  • TikTo LIVEでの投げ銭
  • アフィリエイト
  • PR案件
  • 音楽利用

の4種類に分けられます。その内企業が行えるのは、実質、TikTo LIVEでの投げ銭のみです。

また間接的な方法には、

  • ECサイトへの流入を増やす
  • 実店舗の利用を促進する

の2種類があります。宣伝効果を高めるために、アフィリエイターやTikTokerへ依頼をし、彼らの影響力をうまく活用するのも一つの手です。

近年インスタグラムの「リール」やYouTubeの「ショート動画」のように、より手軽に動画の投稿・閲覧ができる機能を追加するSNSが増えています。このことは、「TikTokの手軽さがユーザーの人気を集めている」と評価されている証拠と言えるでしょう。

SNSマーケティングの場として注目を集めているTikTokを運用する際は、ぜひ本記事の内容を参考にしながら、自社に合った方法で効率的な収益化に取り組んでみてください。