ディスプレイ広告とは?リスティング広告との違いやメリットを徹底解説

Web広告にはいくつも種類があり、それぞれ掲載場所や大きさ、掲載できる内容、課金方法などが異なります。ユーザーが広告を目にする場面や見え方が変わるので、アプローチできるターゲットもさまざまです。そのためWebマーケティングを成功させるには、広告ごとの特性をよく理解して、商品やサービス、ターゲットに合った媒体や形式で配信する必要があります。

本記事ではWeb広告の中でもさまざまな運用の工夫ができる「ディスプレイ広告」について、基礎知識から、活用する際のポイントまで詳しく解説していきます。ぜひ最後までチェックして、ディスプレイ広告の出稿を検討してみてください。

※本記事の情報は2022年3月時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。

ディスプレイ広告とは?

ディスプレイ広告はWebサイトやアプリの一部分に表示される広告で、画像・動画・テキストを掲載できます。ユーザーがディスプレイ広告を目にし、興味を持ってクリックすると、あらかじめ指定しておいたWebページへ誘導される仕組みです。このWebページに自社のサービスサイトやECサイト、商品LPなどを指定しておくことで、認知拡大や商品購入といった目標の達成につなげられます。

ディスプレイ広告は、視認しやすいバナーとしてWebサイト上に表示されることから、「バナー広告」と呼ばれることもあります。

Google・Yahoo!のサービスや提携サイトへ表示が可能

ディスプレイ広告の主な出稿先は、「Googleディスプレイネットワーク(GDN)」と「Yahoo!広告のディスプレイ広告(運用型)(YDA)」の2つです。

GDNにディスプレイ広告を出稿すると、

  • Gmail
  • YouTube

といったGoogleが運営するWebサイトの他、3,500万ものさまざまなWebサイトやアプリへ掲載されます。

GDNで表示できるWebサイトは幅広く、個人規模のブログから食べログなどの大手Webサービスまでが掲載先の対象となります。GDNへ出稿した広告は、多数のWebサイトに配信される可能性があり、より多くのユーザーの目に止まる可能性があるのです。

YDAにディスプレイ広告を出稿すると、

  • Yahoo! JAPAN
  • Yahoo!ニュース
  • Yahoo!メール

などのYahoo!が運営するWebサイトの他、Yahoo!広告 ネットワークパートナーとして提携している、法人運営のWebサイトへ掲載されます。個人運営のWebサイトには掲載されません。

YDAは、2019年11月にリニューアルが発表された、「旧Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」にあたるサービスです。

またYahoo!広告には「ディスプレイ広告(予約型)」というものもありますが、こちらは一般的な運用型のディスプレイ広告と課金方法が異なります。後程詳しくご説明します。

GDNとYDAでは、「レスポンシブディスプレイ広告」という広告が、近年主流となってきています。テキストと画像の両方を表示でき、機械学習によってサイズやレイアウトを掲載面に合わせて最適化してくれる広告です。

画像や動画など必要最低限の素材はもちろん作成しなければなりませんが、レスポンシブディスプレイ広告ならばサイズ違いの画像を何パターンも作るといった手間が不要になる他、この機能を利用することで1つの広告に対して掲載できる広告枠が増えるという効果も期待でき、より多くのユーザーの目に触れさせることができるでしょう。

※出典:Google広告ヘルプ「広告の掲載先」

https://support.google.com/google-ads/answer/1704373?hl=ja(2022-03-11)

※出典:Yahoo!広告「広告掲載サイト)」

https://ads-promo.yahoo.co.jp/service/publisher/#ydn(2022-03-11)

※出典:Yahoo!Japan 「プレスリリース 広告・サービスをリニューアルし、 2020年度にかけて名称を順次「Yahoo!広告」に変更」

https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2019/11/28m/(2022-03-11)

※出典:Yahoo!広告「ディスプレイ広告(予約型)」

https://marketing.yahoo.co.jp/service/yahooads/displayads-guarantee/(2022-03-11)

リスティング広告とはどこが違うの?

「リスティング広告」もGoogle広告やYahoo!広告の一つです。リスティング広告は「検索連動型広告」と呼ばれており、その名の通りユーザーが検索を行った際に、その検索語句と広告主が事前に入札をかけておいたキーワードが一致すると、広告が表示される仕組みです。

ディスプレイ広告とリスティング広告はそれぞれ特長が異なるため、内容を理解しておき、広告を出稿する際は上手に使い分けるようにしましょう。主な違いは以下の3つです。

広告が掲載される場所

先ほどご紹介した通り、ディスプレイ広告はWebページ内やアプリ内の広告枠として設けられた場所に表示されます。それに対してリスティング広告は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの、自然検索結果の上部や下部に表示されます。リンク先となるWebページ自体の自然検索ランキングには、直接的には影響しません。

広告の見え方

ディスプレイ広告では画像や動画を表示できるため視認性が高く、比較的ユーザーを惹きつけやすい広告と言えるでしょう。またレスポンシブディスプレイ広告を利用することで、画像や動画のサイズ・レイアウトが、広告枠やデバイスに合わせて自動で変化します。

一方でリスティング広告は、基本的にテキストのみでシンプルに表示されます。最大3つの広告タイトルと、2つの説明文で構成されます。

なおテキストのみのディスプレイ広告も存在します。

アプローチできるターゲット

リスティング広告は検索結果画面に表示されるため、キーワードに対して興味関心を持っているユーザーにアプローチが可能です。そのため、ある程度自身の購買意欲などを認知している、自ら検索を行う顕在層のユーザーがターゲットとなります。比較的高いクリック率や成果率が見込めますが、一方で自身の購買意欲などを認知していない潜在層へのアプローチは難しいです。

その点ディスプレイ広告は、明確な購買意欲などを感じていないユーザーにも商品やサービスを訴求できます。広告主がターゲティングを行うことで、ユーザーの意思に関係なく広告を配信できることから、商品やサービスに興味関心を持ちそうな潜在層にもアプローチできるのです。

ディスプレイ広告の形態には運用型と予約型がある

ディスプレイ広告の形態には運用型と予約型の2種類があります。GDNやYDAは運用型のディスプレイ広告にあたり、2022年現在ではこの運用方法が主流となっています。

運用の目的によって課金方式を選べます。  主なものは

  • クリック数(クリック課金):ユーザーが広告をクリックすると費用が発生
  • 表示回数(インプレッション課金):広告の表示回数に応じて費用が発生
  • 動画広告の視聴回数(動画再生課金):ユーザーが動画広告を指定秒数以上視聴すると費用が発生
  • コンバージョン(CV)数:クリック数にかかわらず、購入やサービス申し込みなどの目的に到達した数に応じて費用が発生

※一部の広告主のみ

の4つです。GDN・YDA共に、メインとなるのはクリック数(クリック課金) です。

一方で、予約型としてそれぞれのコンテンツが独自に提供している広告枠も、ディスプレイ広告と呼んでいます。GDNのひとつであるYouTube広告や、Yahoo!広告でも、運用型と予約型の両方のディスプレイ広告を出稿可能です。

予約購入したWebサイト上にある広告枠にのみ掲載されるため、ターゲットと親和性があるWebサイトに掲載することで、高い効果が期待できます。効果を検証しながらターゲティングを変えるなどの運用も不要です。

どこに掲載するのかによっても異なりますが、予約型の場合は原則一定の表示回数や配信期間が保証されるような仕組みになっています。購入した広告枠の金額や期間に対し、上限に到達するまで広告が表示されるという形が一般的です。

出典:Google広告ヘルプ「ディスプレイ ネットワーク キャンペーンの入札単価を設定する」

https://support.google.com/google-ads/answer/2454058?hl=ja(2022-03-11)

出典:Google広告ヘルプ「単価設定の基礎」

https://support.google.com/google-ads/answer/2459326?hl=ja(2022-03-11)

出典: 【ディスプレイ広告(運用型)】新しい自動入札タイプの提供について

https://ads-promo.yahoo.co.jp/support/release/30233694.html(2022-03-11)

ディスプレイ広告配信のメリット

多くの企業や個人が、数あるWeb広告の中からディスプレイ広告を好んで使うのには理由があります。ディスプレイ広告ならではのメリットとして、主に以下の4つが挙げられます。

・リマーケティング(リターゲティング)できる

・潜在層へもアプローチできる

・デザインや見せ方を工夫でき、ユーザーの目に留まりやすい

・費用対効果を高められる場合も

一つずつ詳しく解説していきます。

メリット1:リマーケティング(リターゲティング)できる

ディスプレイ広告では、リマーケティング (リターゲティング )が可能です。リマーケティングとは、過去に一度自社サイトを訪問したことがあるユーザーに対して、広告を表示する仕組みのこと。GDNでは「広告主様のデータ(旧リマーケティング)」YDAでは「リターゲティング」という項目で設定できます。自社の商品やサービスについてすでに関心があるユーザーを対象にすることで、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)を上げ、広告のコストパフォーマンスを高めます。

リマーケティングを行うと、一度Webサイトを訪問してくれたものの購買や利用に結びつかなかったユーザーに対して再びアプローチすることができ、段階的に購買意欲などを引き上げ最終的に成果へつながるよう誘導できるというメリットもあるでしょう。またユーザーの興味がライバルへ移る前に自社の商品やサービスを訴求することで、既存顧客が離れていかないようにする効果も期待できます。

とはいえやりすぎるとユーザーに不快感を与えてしまい、ネガティブなイメージを与えたり、広告をブロックされたりする可能性もあるため、ユーザーに送る情報は適度な量を保つことが重要です。広告表示の上限回数である「フリークエンシーキャップ」を設定しておけば、同じユーザーに対して必要以上に広告を表示してしまうといったケースを、防ぐことができるでしょう。

出典:Google広告ヘルプ「オーディエンスに関する用語やフレーズの更新」

https://support.google.com/google-ads/answer/10566701(2022-03-11)

出典:Yahoo!広告ヘルプ「ウェブサイトを訪問したユーザーに広告を配信する(サイトリターゲティング)」

https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/display/articledetail?lan=ja&aid=51464(2022-03-11)

メリット2:潜在層へもアプローチできる

ディスプレイ広告はターゲティングを行って、商品やサービスのターゲットと属性などが一致する潜在層のユーザーに対しても広告を表示できるため、全体としてすそ野の広いマーケティングが可能です。たとえ直接商品の購買やサービスの利用に結びつかないとしても、自社ブランドの認知度を高めるために役立つでしょう。

メリット3:デザインや見せ方を工夫でき、ユーザーの目に留まりやすい

ディスプレイ広告では画像や動画を表示できるので、テキストのみの広告と比べてより多くの情報をユーザーに伝えられるというメリットがあります。デザインや見せ方などにこだわることで、商品やサービスのアピールポイントをより具体的に見せることができ、その分訴求力が高まるでしょう。

メリット4:費用対効果を高められる場合も

広告をクリックするユーザーは、その内容に興味を持っていると考えられます。そのためクリック課金を採用すると、ある程度購買意欲のあるユーザーを中心に広告費用を使える可能性が高いです。ディスプレイ広告には潜在層のユーザーも含まれるため、リスティング広告と比べると純粋なCTRやCVRは劣るかもしれませんが、その分クリック単価(CPC)が安く設定されている傾向にあります。リマーケティングなどでユーザーを適切に絞り込むことができれば、費用対効果を高められるケースもあるでしょう。

また一定以上のCTRが見込める広告の場合、インプレッション課金を利用することで広告費用を抑えた運用が可能となる場合もあります。クリック課金の相場は1クリック当たり50~100円の料金が発生するのに対し、インプレッション課金は千回の表示で数十円〜数百円程度です 。概算ではありますが少なくとも100人に1人以上クリックしてもらえそうな広告ならば、この手法は有効と言えるでしょう。

ディスプレイ広告を始めるにあたって押さえておきたい4つのポイント

成果の出るディスプレイ広告運用をするためには、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。

配信する目的を明確にする

ディスプレイ広告に限った話ではありませんが、広告は「何のために配信するか」「最終的な目標は何なのか」をはっきりとさせてから出稿すべきです。ディスプレイ広告の場合、目的によって掲載場所やターゲットが変わる他、作成する画像やテキストなどの趣旨も異なるでしょう。アクセスはあっても自分たちの目指す成果が生まれず、費用だけがかかってしまう結果となっては、広告を出す意味がありません。

出稿後も「費用に対してどれぐらいのユーザーがCVに至ったのか」をしっかりと分析するようにし、必要に応じて掲載内容やターゲティングの条件を調整するようにしてください。

明確なCVがある場合

CVとして計測可能な、商品やサービスの購入、コンテンツ再生、資料請求、商談申し込みなどを目標として設定するケースは多いです。この場合、明確に購入意思があるユーザーへアプローチする必要があります。 そのため広告運用の際は、ターゲットをしっかりと絞り込みましょう。関連ワードやユーザーの関心事をある程度絞り込み、ターゲット範囲を狭めることで、CVにつながる可能性が低いクリックを少なくできるはずです。

合わせてディスプレイ広告の場合は、画像や動画のサムネイルといったクリエイティブに商品名や価格などの詳細を分かりやすく入れることで、ユーザーの購買意欲を高める効果が期待できます。

ブランディングが目的の場合

先述の通りディスプレイ広告は潜在層にもアプローチできるため、「まずは自社ブランドを知ってもらう」「新しいサービスの名前を覚えてもらう」といった認知拡大にも向いています。その場合にはターゲットや掲載場所を、あまり細かく絞り込み過ぎない方が良いでしょう。

CVRは下がってしまうかもしれませんが、サービスそのものを知らない人に広告を配信するためには、これまでの顧客層と違ったユーザーに向けて配信するのもおすすめです。とはいえあまりもイメージと懸け離れたWebサイトに広告を掲載してしまうと、意図しないブランドイメージがついてしまう可能性もあるため、ある程度のターゲティングは必要です。

またクリエイティブは、サービス内容や質など、他社と比較して特長的なポイントを前面に出して作るのが効果的です。

アピールしたいユーザーの属性を理解する

ディスプレイ広告では、ユーザーの属性を詳細に設定できます。GDNでの表示は「ユーザー属性」、YDAでは「属性・ライフイベント」です。基本的な情報の地域や性別、年齢などに加えて、家族構成やライフイベントなどの項目がありますので、アピールしたいユーザーがどの属性にあたるかをある程度理解しておく必要があります。

もし複数の年齢層や性別にアピールしたいのであれば、それぞれのターゲットに向けて見せ方を変えた広告を配信するというテクニックもあります。一つの広告を30代男性向け、20代女性向けとそれぞれ違う層に向けた広告を出すことも可能です。ユーザー属性をしっかりと理解しておくことで、より精度の高いターゲティングが実現できるでしょう。

出典:Google広告ヘルプ「ユーザー属性ターゲティングについて」

https://support.google.com/google-ads/answer/2580383(2022-03-11)

出典:Yahoo!広告ヘルプ「【ディスプレイ広告】ディスプレイ広告(運用型) オーディエンスカテゴリーターゲティング 機能追加のお知らせ」

https://ads-promo.yahoo.co.jp/support/release/841267.html(2022-03-11)

表示させる配信面も考慮する

ディスプレイ広告では、配信面のターゲティングも可能です。まずGDNとYDAのどちらを選ぶかによって選択肢が変わります。ターゲティングの設定は、掲載したいWebサイトを指定することや、ジャンルなどで絞り込むことが可能です。それぞれの配信面の特性と、そのWebサイトに集まるユーザーがどんな属性で、何をするために訪れているのかを確認した上で、適切な配信先を選ぶことが大事です。

広告配信後はデータを集めて分析を続けることで、より効果の高い配信面を検討し続けてください。配信した広告が、配信面となるWebサイトを利用するユーザーのニーズに当てはまれば、CTRやCVRの向上が見込めるでしょう。

ツールを活用する

ディスプレイ広告を作成する際は、広告入稿をスムーズに進めるために役立つ入稿支援ツールを活用しましょう。GDNには「広告エディタ」、YDAには「キャンペーンエディター」というツールがあります。入稿支援ツールでは、データをオフラインで編集したり、その内容をアップロードしたりといったことができます。

またGDNには広告の費用をシミュレーションできる、「パフォーマンスプランナー 」というツールもあります。ターゲティング条件と一日の予算を入力することで、掲載試算のグラフや表示回数、クリック数などの見込みの確認が可能です。

出典:Google広告ヘルプ「広告エディタについて」

https://support.google.com/google-ads/editor/answer/2484521?hl=ja(2022-03-18)

出典:Yahoo!広告「キャンペーンエディター」

https://ads-promo.yahoo.co.jp/dr/YDA_campaigneditor/(2022-03-18)

出典:Google広告ヘルプ「パフォーマンス プランナーについて」

https://support.google.com/google-ads/answer/9230124?hl=ja(2022-03-18)

まとめ

ディスプレイ広告は、幅広い予算や目的に対応できる広告です。 さまざまな機能があるため戦略的に運用するためには知識やテクニックが不可欠ですが、しっかりとしたデータ分析と改善の繰り返しによって、より効率的な広告運用を目指せます。ディスプレイ広告をお考えの方は、今回ご紹介した内容を参考にして、自分たちに合った運用方法を検討してみてください。