SNS広告とは?種類やそれぞれの強みを解説

「インスタ映え」という言葉を生み出した、写真や動画をシェアする「Instagram」や、140文字でつぶやきを投稿する「Twitter」をはじめとするSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、今や世界中の多くの人にとって無くてはならないコミュニケーションツールとなっています。自らの体験をシェアしたり、他のユーザーと交流したりするのはもちろん、情報収集手段の一つとして利用しているユーザーも多いです。

そういったユーザーにアプローチするために、SNSのアカウントを取得して運用している企業や店舗も増えてきていますが、多くのSNSには通常の投稿とは別に広告を配信する仕組みがあり、上手に活用することでより効率的にターゲットとの接触を増やすことができます。

本記事ではSNS上で配信する広告「SNS広告」の種類や強みといった基礎知識から、活用する際のポイントまで、SNS広告を始めるにあたって知っておきたいことを解説していきます。

商品やサービスによっては、他のWeb広告よりもSNS広告の方が高い効果を発揮する場合があります。SNS広告について深く理解し、貴社の商品やサービスに適したマーケティング戦略を立てていきましょう。

SNS広告とは? 配信する目的と役割

SNS広告はその名の通り、SNS上で配信する広告のことです。タイムラインやフィードなどと呼ばれる普段ユーザーが見ている画面上に、一般の投稿と同じような形式で表示されるため、テレビやラジオで流れるCMのように自然とユーザーの目に入ります。

基本的にはユーザーの意思に関係なく広告を表示させることができるため、SNS広告は主に潜在層に向けて広告を配信したい場合に利用します。まだ商品やサービスを知らない人に向けてSNS広告を配信することで認知を拡大したり、知ってはいるけれども自ら情報収集をするほどの興味や購買意欲はないという人に向けて配信することで興味・関心の度合いを高めたりと、ターゲットの購買心理のプロセスを1段階進めることを目的として利用するケースが多いです。

またSNS広告には他のWeb広告よりも細かくターゲットを設定できるという特長もあります。ターゲットとユーザー層がマッチするSNSを選び、ユーザーの条件を指定して広告を配信することで、より効率よくターゲットとの接触を増やすことができます。

さまざまなWeb広告の中でもSNS広告は、

・潜在層にもアプローチできる手段

・より細かくターゲットを設定して広告を配信できる手段

という役割を担っているのです。

SNS広告を配信する流れと仕組み

SNS広告で目的を達成するまでの大まかな流れと仕組みは以下の通りです。

1)InstagramやTwitterなど、広告を配信できるSNSの中から、ターゲットとなるユーザーが多い配信先を選ぶ

2)年齢・性別・興味関心などの項目の中から、商品やサービスのターゲットに当てはまる項目を選択し、広告を配信するユーザーの条件を決定する

3)広告の配信開始。対象のユーザーのタイムラインやフィードに、一般の投稿に紛れて広告が表示される

4)表示された画像や動画、テキストにユーザーが興味を持つと広告をタップ。Webサイトへの遷移など、広告主が事前に設定したアクションが発生し、ユーザーがより詳しい情報を入手する。興味を持った広告をフォロワーにシェアすることも

5)入手した情報をもとに、ユーザーが商品の購入やサービスの体験申し込みといった具体的なアクションに至る

SNS広告とリスティング広告の違いは?

SNS広告とリスティング広告では、広告が表示されるまでの仕組みが異なります。

リスティング広告はユーザーがGoogleなどの検索エンジンで検索した語句と、広告主が入札をかけたキーワードが一致した場合に広告が表示されます。

一方SNS広告は、設定した条件に当てはまるユーザーがSNSのタイムラインやフィードを閲覧すると、一般の投稿と投稿の間に自動的に広告が表示されます。

つまりリスティング広告は、ある程度自身の購買意欲を認知している、自ら検索を行う顕在層向けの広告であるのに対して、SNS広告はまだ自身の購買意欲を認知していない潜在層にも広告を表示することができ、商品やサービスに興味を持つきっかけとなることができるのです。

SNS広告とSNS投稿の違いは?

SNS投稿とはアカウントを所持しているユーザーが情報を発信すること、あるいはその発信された情報のことです。

個人のアカウントも企業のアカウントも、SNSの中では同じ1つのアカウントです。企業アカウントがその日のニュースや写真などを投稿すると、個人アカウントでの投稿と同じようにフォロワーのタイムラインやフィードに流れ、その投稿に共感するフォロワーがいいねやシェアをすると、より多くのユーザーの目に触れる機会を得ます。数多くのフォロワーを抱えている企業アカウントの場合は投稿をするだけで、フォロワーたちの力を借りて、その何倍ものユーザーに情報を拡散することもできるでしょう。しかしながらフォロワー数が少ない企業の場合は、投稿をしても期待するほどシェアされず、マーケティング施策としてはあまり効果が出ません。

一方SNS広告は、フォロワーや友だちとして直接結びついていないユーザーにも広告を表示することができます。フォロワーという枠にとらわれず、SNS利用者の中にいる全てのターゲットに直接アプローチすることができるため、もちろん費用はかかってしまいますが、SNS投稿が拡散されるのを待つよりも高いマーケティング効果が期待できます。

SNS広告の特長

SNSを活用したマーケティング戦略を立てるために、しっかりとSNS広告の特長をつかんでおきましょう。SNS広告には主に以下の4つの特長があります。

精度の高いターゲティングが可能

Web広告の中でもSNS広告は、より精度の高いターゲティングが行える手法です。ユーザーがアカウント取得時に登録する年齢・性別・居住地域・興味関心といった登録情報やGPS情報などを、利用規約に定められた範囲で広告配信に利用できるSNSが多いからです。

そのため例えば「東京都新宿区にいる美容に興味のある20代女性」のような条件でターゲットを設定し、条件に当てはまるユーザーのタイムラインやフィードに自動で広告を表示させることができます。SNSごとに設定できる条件は異なり、1歳刻みで年齢設定を行えるものもあります。

潜在層にもアプローチできる

SNS広告でアプローチできるターゲットは、既に自身の購買意欲を認知していたり、商品やサービスに興味関心を示していたりするユーザーだけではありません。まだ自身の購買ニーズを認知していないユーザーや、商品やサービスを知らないユーザー、すなわち潜在層にも広告を配信することができます。

そのためターゲットとなるユーザーが多いSNSを選び、ターゲティングを上手に活用して、商品やサービスの認知拡大を目的とした広告配信を行うのもおすすめです。

タイムラインに自然になじむ

ユーザーが普段見ているタイムラインやフィードになじむように表示されるのもSNS広告の特長です。SNS広告は一般の投稿と投稿の間に、同じような形式で表示されるケースがほとんど。そのため他のSNS投稿と同じように、違和感なく自然とユーザーの目に入ります。興味がない場合はスクロールして次の投稿に移れる仕組みになっているものが多いため、ユーザーにネガティブな印象を与えにくいです。

拡散してもらえる可能性も

多くのSNSには、他のユーザーの投稿や広告をフォロワーにシェアできる機能が備わっています。もしかしたら、商品やサービスに興味を持ったユーザーが、同じように興味を持ちそうなフォロワーにシェアしてくれるかもしれません。

またSNS広告をきっかけに商品を購入したり、サービスを利用したりしたユーザーが満足できた場合、感想などをSNS投稿としてフォロワーへ発信してくれる可能性もあります。こういったユーザー発信のコンテンツのことを「UGC(User Generated Content)」といい、バズ・マーケティング手法の1つとして、現在マーケティング業界で注目を集めています。UGCはユーザーの意思による投稿であるため他のユーザーからの信頼性が高く、また自分と似たような属性やタイプのユーザーであればあるほど、共感を得られやすいです。

シェアやSNS投稿はユーザーの意思によるものであるため、期待値は低いですが、1つのSNS広告が爆発的なマーケティング効果を生むという可能性も0ではありません。

SNS広告の種類

SNS広告はプラットフォームごとに配信形態や配信できる内容が異なります。

本記事では代表的なSNSとして、

・Facebook

・Instagram

・LINE

・TikTok

・Twitter

・YouTube

の6つをご紹介します。

Facebook

Facebookは主にテキストと写真を用いて今の気持ちをフォロワーにシェアするSNSです。アクティブユーザーが多く、2021年9月時点の月間アクティブユーザー数は全世界で29億1,000万人に達しています(※)。

アカウント作成をする際に原則氏名を登録する必要があるため、特に精度の高い広告運用が行えるプラットフォームと言えるでしょう。在籍している企業や学校、経歴といった個人情報も登録・公開できるようになっており、これらの情報も広告配信のターゲット設定に利用することができるため、ピンポイントでユーザーを絞り込むことが可能です。例えば特定の大学に在籍している人をターゲットとして、在学生向けの就職情報サービスの広告を配信するといったことができます。ターゲットの設定を自動で行ってくれる、自動最適化機能も備わっています。

30〜40代のユーザーが多いため、ビジネスパーソン向けの広告配信に向いています。BtoCの商品やサービスだけではなく、BtoBの商材のPRにもおすすめです。

広告はタイムラインの他、ユーザーがFacebook内検索を行った際の検索結果画面などにも表示できます。モバイル向け、パソコン向けと広告の配信先を選べるのもFacebookの特長です。

Instagram

Instagramは10代、20代の若者世代を中心に拡大してきたSNSです。とはいえ徐々に上の世代のユーザーも増えてきており、令和元年の調査では40代や50代の利用率は30%以上となっています。また以前は女性ユーザーが多かったのですが、徐々に男性の利用率も上がっており、同調査では男性の利用率が31.9%、女性の利用率が43.8%という結果が示されています(※)。

Instagramは画像や動画の投稿がメインなので、視覚に訴える広告の配信に向いています。広告が表示される場所や表示の長さにはいくつかバリエーションがあり、一般の投稿と投稿の間に表示されるフィード、数秒間の短尺動画を24時間だけ公開できるストーリーズ、最大60分の長尺動画も配信できる動画広告などが挙げられます。

Instagramは特にビジュアルが重要なSNSであるため、あからさまに広告とわかる画像や動画よりも、他の投稿になじむような広告が多く配信されています。もちろんPR表記はあるのですが、パッと見では広告とは気がつかない画像や動画もあり、一般の投稿に紛れて自然とユーザーの目に触れさせ、「この商品インスタで見た!」という反応を引き出せるのもInstagram広告の特長です。

InstagramはFacebookと同じくMeta社が運営しているSNSであるため、同じ管理画面を利用して広告を出し分けることができます。アクティブユーザー数が多いのはもちろん、精度の高いターゲティングや自動最適化が行える点もFacebook広告と同じです。

LINE

LINEはベーシックなSNSのVOOM(旧タイムライン)と、通話やチャット、ニュース、決済サービスといったさまざまな機能を持ち合わせている、SNSの進化系とも呼べるプラットフォームです。全世代で普及率が高く、60代でも67.9%の人が利用しています(※)。子どもや孫と連絡を取り合うためのツールとしてLINEを利用しているシニア世代も少なくないでしょう。そのため他のSNS広告と比べて、高い年齢層向けの商品やサービスの広告とも親和性が高い傾向にあると言えます。

広告は他のSNS広告と同様に、VOOMの一般の投稿と投稿の間に表示させたり、トーク一覧の上部に表示させたりできる他、LINEの各サービスの画面のさまざまな場所に広告掲載枠が用意されています。

配信形態は画像もしくは動画です。独自の最適化機能やレポート機能もあり、さまざまな分析方法を取り入れたいという方にもおすすめです。

TikTok

若者へのマーケティングを考えているのであれば、TikTokは欠かせないツールです。TikTokの特長は短尺動画を配信し、ユーザー自身の今を伝えられる点にあります。投稿の拡散力が強く、有名なユーザーを指す言葉として「YouTuber」ならぬ「TikToker」という言葉も生まれているほど影響力のあるSNSです。

TikTokを利用する年代は、10代や20代が中心(※)。この年齢層に商品やサービスをPRしたい場合、強いインパクトを与える動画広告を配信することで、爆発的な認知の拡大も望めるでしょう。

TikTok広告には、投稿と投稿の間に広告を差し込む配信方法の他、ユーザーがアプリを起動した際に広告を表示する配信方法も用意されています。またTikTokerなどを起用することで、もちろんPR表記はあるものの、一般の投稿に限りなく近い印象の広告を配信することもできるでしょう。

Twitter

Twitterは140文字のテキストと画像や動画で今を伝えられるSNSです。ユーザーが気に入った他の人の投稿をリツイートすると、フォロワーのタイムラインにその内容が表示される仕組みになっています。数万人以上のフォロワーを抱える「インフルエンサー」と呼ばれるユーザーがリツイートをすると、一瞬にしてその投稿が数万人以上のタイムラインに流れ、多くの人の目に留まることになるでしょう。

Twitter広告の特長は、ターゲット設定に独自性の高い項目がある点です。ユーザーが投稿したツイート内のキーワードを条件とする「キーワードターゲティング」や、ターゲットに該当するユーザーのフォロワーにも広告を配信する「フォロワーターゲティング」などです。これによりTwitterの「リツイートによる情報拡散が得意」という点を生かした絞り込みが行えます。地域ごとのトレンドに合わせて広告配信を設定できる機能もあり、活用すれば最新情報に敏感なユーザーを取り込めるかもしれません。

Twitter広告の広告枠も、他のSNS広告と同様に複数あります。ユーザーのタイムラインに一般の投稿に近いデザインで表示される「広告用ツイート」の他、おすすめユーザーなどにアカウントが表示される「フォロワー獲得広告」、キーワード検索の結果ページ上部に表示される「プロモ広告」などです。

YouTube

YouTubeは映像配信に特化したプラットフォームですが、SNSとしての役割も担っています。チャット機能やコメント投稿機能があり、動画コンテンツに合わせてユーザーの興味関心を引く広告配信が可能です。

10代〜60代の全年代で半数以上の人がYouTubeを利用しており、投稿されている動画のジャンルもさまざまであるため、YouTubeは幅広い商品やサービスの広告が取り扱えるプラットフォームと言えるでしょう(※)。テレビCMのように動画が始まる前もしくは配信中に流せる動画広告、視聴中の動画にバナーを表示させる固定の広告などがあり、ニーズに合わせた配信ができるのも魅力です。

TikTok同様に人気YouTuberとのタイアップ動画で商品やサービスを紹介してもらうといった活用方法もあります。

※.出典:総務省「令和2年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

https://www.soumu.go.jp/main_content/000765258.pdf

SNS広告を活用する際の注意点

SNS広告を活用する際は、企業の目線だけでマーケティング戦略を練らないようにすることが大切です。ユーザーにとってSNSは共感できる情報や有意義な情報を見つける場であり、自ら発信することもあれば、時にはシェアする目的で利用します。そのためユーザー目線を考慮して配信しなければ、その広告はユーザーにとって邪魔なものになってしまい、極端に言えばかえって商品の価値を下げてしまう可能性もあります。

Instagramの人気投稿やTwitterのトレンドなどで、ユーザーが今興味をもっていることや人気の投稿のテイストなどを把握し、それを広告制作に生かすようにしましょう。ユーザーに歓迎される内容であれば、広告に対するアクションを引き出しやすいだけではなく、前述したUGCにつながる可能性も高まります。

またわかりやすい広告にすることも大切です。この商品を使うと具体的にどのようなメリットがあるのか、他にはないどのような魅力があるのか、どれほど生活が便利になったり充実したりするのかなどが伝わる内容にしてください。広告が表示された瞬間にユーザーの興味関心を引き、ストレスなく広告の内容を知れるような画像や動画、テキストを作りましょう。

SNS広告はターゲット選定が重要

前述の通り、SNS広告は精度の高いターゲティングが得意なWeb広告です。SNS広告を行う上でその強みを生かさない手はありません。ターゲット設定で適切なユーザーに絞り込むことができれば、商品やサービスに興味関心を示す人を効率良く増やすことができ、成果につながる確率も上がります。またパフォーマンスの良い広告運用も実現できるでしょう。

ターゲットを的確にとらえるためには、商品やサービスを利用する典型的な仮想ユーザー「ペルソナ」を設定しておくと良いでしょう。性別や年齢層だけではなく、仕事や趣味、居住地域、家族構成、健康状態といったことまで細かく設定するのがポイントです。

SNS広告を配信する際には、まずペルソナが利用するSNSを選択してから、ペルソナが当てはまる条件でターゲットの設定を行いましょう。

まとめ

SNS広告はSNSを利用しているユーザーの中にいるターゲットに対して、商品やサービスを知るきっかけを作ったり、商品購入やサービスへの申し込みを促したりすることができます。SNSによってユーザー層やターゲット設定に使用できる要素が異なるので、より効率良く高い効果を得たいのであれば、それぞれの違いを知って、適切なSNSとユーザーを絞り込む要素を選ぶことが大切です。SNS広告をご検討中の方は、ぜひ本記事でご紹介した内容を参考にして、SNS広告の運用を始めてみてください。

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