リスティング広告の平均クリック率はどのくらい? CTRを改善する5つの方法

リスティング広告は、GoogleやYahoo!などの検索結果画面に表示されるWeb広告です。「検索連動広告」とも呼ばれており、広告主があらかじめ入札をかけていたキーワードが検索されるとオークションが行われ、競り勝った広告から順にユーザーに表示される仕組みです。

リスティング広告には、最終目的である「コンバージョン(CV)」に広告を到達させるまでの間に、さまざまな指標が存在しています。その中でもクリック率(CTR)は、比較的改善に向けて取り組みやすい指標です。

本記事ではCTRについて、改善すべき理由や実際の改善方法を詳しく解説します。ぜひ最後まで読んで、リスティング広告の精度を上げるための参考にしてみてください。

※本記事の情報は2022年5月時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。

クリック率(CTR)とは?

クリック率(CTR)とは、リスティング広告を運用したときの、広告の精度を測る指標の1つです。

広告が表示されたユーザーのうち、広告をクリックしたユーザーがどのくらい居るのかを表しています。GoogleならばGoogle広告の管理画面、Yahoo!ならばYahoo!広告の広告管理ツールで確認できます。

CTRは広告の最終的な目的である、問い合わせや商品・サービスの購入といったユーザーの行動を引き起こすための、中間目標ともなる指標です。

運用の際はどのくらいのCTRを目指すのか、あらかじめ目標を設定しておくのがおすすめです。

クリック率(CTR)の計算方法

CTRは広告がクリックされた回数(クリック数)をユーザーに広告が表示された回数(表示回数)で割って算出します。

CTR = クリック数 ÷ 表示回数

例えば表示回数が1000回でクリック数が100回の場合、クリック率は10%となります。

クリック率(CTR)を上げるべき理由

リスティング広告のCTRを上げると、以下のようなメリットがあります。

  • 多くのユーザーデータを集められる
  • 広告の品質が上がる可能性がある

それぞれ詳しく解説します。

多くのユーザーデータを集められる

Web広告には、過去に配信した広告のデータを分析して次の広告に生かせるという特性があります。リスティング広告では、遷移先のWebサイトを訪れたユーザーの情報を蓄積し、統計データとして見ることが可能です。CTRを向上させることで、より多くのデータを得られます。

Google・Yahoo!の間で異なる点もありますが、閲覧できるデータの内容は原則として性別・年齢などのユーザー属性の他、遷移先Webサイトの中でユーザーがどのような行動をしたかの履歴などが含まれます。

CTRの向上によって多くのユーザーデータを集めたら、必ず分析を行いましょう。

GoogleやYahoo!の広告管理ツールから

  • 訪れたユーザー属性の分布分析
  • 仮想のユーザー像(ペルソナ)とのギャップ分析

などを行うことで、より精度の高い広告配信が可能になるはずです。

Google Analyticsのようなツールを利用することで、遷移先のWebサイトからすぐに離脱してしまったユーザーの特定なども可能です。

広告の品質が上がる可能性がある

冒頭でご説明した通り、Googleのリスティング広告では、広告オークションによって掲載順位が決まります。広告オークションで競うのは、「広告ランク」と呼ばれる指標です。

広告ランクは「入札価格」や「広告の品質」といったいくつかの要素から算出されます。

広告の品質には「推定クリック率」「広告の関連性」「ランディングページ(LP)の利便性」といった要素が反映され、その中でも「推定クリック率」は過去の広告のクリック数や表示回数などを元に算出されます。

つまりクリック率が上がると推定クリック率が上がり、広告の品質が上がる可能性があるのです。

改善の必要性を判断する基準の一つとして活用できるでしょう。

クリック率(CTR)の平均・目安

Web広告のクリック率は、業界や商材によって大幅な違いがあります。
当社独自の見解では、リスティング広告の平均CTRは、2~7%程度です。特にCTRが高い業界は旅行業や金融系で、平均して3%~程度のCTRが見込めます。

反対に比較的CTRが低い業界は、ITやBtoBです。平均して2%~程度のCTRとなります。いずれの場合でも、平均よりも0.5%程度高いスコアが取れていれば、精度の高い広告を配信できていると考えられます。反対に平均を下回ってしまう場合は、改善の余地があるかもしれません。

以下の表のデータは、アメリカのマーケティング会社のWordStreamが掲載しているGoogle広告のリスティング広告の平均クリック率です。自社に近い業界の数値を参考にしてみても良いでしょう。

なお、CTRは変動しやすい指標です。企業の知名度や世間の興味、流行といった要素も大きく影響します。

平均の数値はあくまでも目安として捉え、最終的なCV獲得という広告本来の目標を踏まえた上で、改善に取り組みましょう。

引用元:https://www.wordstream.com/blog/ws/2016/02/29/google-adwords-industry-benchmarks

クリック率(CTR)を改善する方法

CTRを改善するには、大きく分けて以下の5つの手法があります。

  • 上限クリック単価を上げて上位表示を目指す
  • キーワードを見直す
  • ターゲットを見直す
  • 広告表示オプションを活用する
  • 広告のテキストを最適化する

一つずつ見ていきましょう。

上限クリック単価を上げて上位表示を目指す

リスティング広告の主な表示位置は、GoogleやYahoo!の検索結果画面の上部や下部です。

あらかじめ選んだキーワードに対して上限クリック単価を設定し、同じキーワードに入札している他社の広告と競います。一般的に競合先よりも高い入札価格となった場合、優先して上位の位置に広告を掲載できる仕組みです。

そのため上限クリック単価を上げて高い金額を設定すると、広告が上位に表示される可能性も上がります。上位になればなるほど、ユーザーがクリックしやすい位置に広告が表示されるため、結果的にCTRの向上が見込めるでしょう。

なお競合の状況にもよりますが、上限クリック数を上げると、結果的にクリック単価も上昇する可能性があります。全体の広告予算を増やしておかなければ配信数が激減してしまうので、気を付けてください。

キーワードを見直す

前述の通り、リスティング広告では分析と改善を繰り返すことで広告の精度を上げていくことが可能です。

  • ペルソナと実際にクリックしているユーザーにギャップがある
  • 遷移先のURLからユーザーがすぐに離脱してしまう

といった傾向がある場合は、設定しているキーワードが適切ではない可能性があります。ターゲットがより興味を持っていそうなキーワードや、より広告の内容と関連性の高いキーワードに変更してみてください。

またユーザーが実際に検索した語句「検索クエリ」もチェックしておくことをおすすめします。クリックにつながっていないキーワードがあれば、そのキーワードを除外するよう設定しておきます。

これにより、「広告が表示されてもユーザーがクリックしない」という傾向のあるキーワードを避けて配信することが可能です。

ターゲットを見直す

広告の内容に興味がないユーザーに広告を配信した場合も、ユーザーは表示された広告をクリックせずスルーするため、CTRは低下します。

本来ターゲットとしたい、広告に興味を持ってくれるユーザーへ広告が届いていないと考えられる場合は、ターゲティングを変更したり追加したりするのがおすすめです。

ただし、やりすぎには注意してください。ターゲティングは配信するユーザーを絞り込むという作業なので、配信条件が増えると、当てはまるユーザーが減っていきます。必要以上に条件設定をしてしまうと配信数が急落する可能性があるのです。

またターゲットを変更する際は、勘や気分で設定を変えてはいけません。必ず効果検証を行いながら、根拠に基づいたターゲット設定の変更を行い、段階的に広告をブラッシュアップしていく必要があります。

広告表示オプションを活用する

リスティング広告では、検索結果画面に補足情報を掲載できる「広告表示オプション」を設定することができます。

広告表示オプションの設定は広告ランクを上げる要素の一つなので、可能な限り設定しておきましょう。広告表示オプションを実際の広告に表示させるには、その広告の品質や掲載順位が良好であるとGoogle・Yahoo!に認められる必要があります。

オプションの内容は、以下の通りです。

Google広告 名称Yahoo!広告 名称表示できる内容
住所表示オプション住所のテキストや地図
アフィリエイト住所表示オプション商品を販売している最寄りの店舗
コールアウト表示オプション/動的コールアウト表示オプションテキスト補足オプション補足情報のテキスト
電話番号表示オプション電話番号オプション電話番号(スマートフォンの場合は、電話番号をタップすることで電話をかけられる)
サイトリンク表示オプション/動的サイトリンク表示オプションクイックリンクオプション広告をクリックした際の遷移先となるWebサイトと異なるページへのテキストリンク
構造化スニペット表示オプション/動的構造化スニペット表示オプション商品のラインナップやサービスの詳細
価格表示オプションカテゴリ別の価格
アプリリンク表示オプションアプリのダウンロードを促すテキストやボタン
プロモーション表示オプションセールやプロモーション情報のテキスト
販売者評価表示オプションユーザーからの評価スコア
カテゴリ補足オプション補足カテゴリーのラベル

このように、広告表示オプションには、より多くの商品やサービスの情報を掲載可能です。

より多くの魅力をユーザーに伝えられるため、クリック率の向上につながるはずです。

広告のテキストを最適化する

リスティング広告は原則文章だけでユーザーの興味関心を引く必要があるため、テキストの内容が重要です。

  • 価格や機能など自社の商品やサービス独自のセールスポイントをアピールする
  • 期間限定セールなどのイベントを行う
  • 実際に使用したらどうなるかを紹介する
  • 遷移先Webサイトの内容を分かりやすく説明する

といった内容にして、ユーザーが広告に興味関心を持つきっかけを演出するのがおすすめです。ユーザーが興味を持っていそうなキーワードを複数入れ込むのもよいでしょう。

また広告文章を作るテクニックとしては

  • 具体的な数字や記号を入れる
  • 短く簡潔なキャッチフレーズをつける
  • 意外性やギャップのある内容にする

といった工夫をするのも有効です。

なお商品をPRする際は、誇大な表現や事実と異なる表現は避け、景品表示法に抵触しないように注意してください。

クリック率(CTR)を改善する際の注意点

リスティング広告を運用するにあたって、注視しなければならないのはCTRだけではありません。

一人でも多くのユーザーを最終的なCVに導くためには、さまざまな指標を考慮し、広告文の内容も戦略的に作り込む必要があります。

広告の各設定を修正する際は、遷移先のWebサイトのデザイン改善や、広告予算全体の見直しといった改善を同時に検討するようにしましょう。

まとめ

リスティング広告は出稿して終わりではありません。最終的な目標達成につなげるため、出稿後に内容を振り返り、分析、改善を繰り返していくことが重要です。改善すべき項目の一つに、CTRがあります。

これからリスティング広告の運用を始めるという方は、本記事でご紹介した5つの方法を中心に、より精度の高い広告になるよう運用し、改善を繰り返し行ってみてください。