リスティング広告でアフィリエイトサイトの広告を出稿する場合の注意点

アフィリエイト広告は、広告主とユーザーの間に第三者が入る広告です。第三者の「アフィリエイター」がユーザーに対して商品やサービスを宣伝します。

本記事では、宣伝の手段としてアフィリエイト広告をリスティング広告に出稿する場合についての注意点をご紹介します。本手法の立ち位置や、関係する法律などについても触れているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

※本記事の情報は2022年5月時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。

アフィリエイト広告とは?

アフィリエイト広告とは、Web広告の一つです。「成果報酬型広告」とも呼ばれるWeb広告で、その名の通り広告の成果に応じて費用が発生します。

成果の指標にはさまざまなものがあり、広告のクリック(CT)数や表示回数の他、会員登録・資料請求といった広告の目標が設定されるケースもあります。

アフィリエイト広告では、広告主と広告を届けるユーザーの間に、「アフィリエイター」という媒体主が入ります。

広告主とアフィリエイターをつなぐ「アフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)」という企業が入るケースや、広告主のマーケティングを支援する立ち位置として、広告代理店が入るケースもあります。それぞれの役割は以下の通りです。

名称役割
アフィリエイターアフィリエイト広告を自身(自社)の運営するブログなどのWebサイトへ掲載する
ASP商品やサービスを宣伝したい企業とアフィリエイターをつなぐ
広告代理店複数のASPをマネジメントし、商品やサービスを宣伝したい企業とASPをつなぐ

なおアフィリエイト広告を掲載するためのWebサイトのことを、アフィリエイトサイトと呼びます。

アフィリエイト広告の仕組み

アフィリエイト広告では、ユーザーがアフィリエイターのWebサイトに掲載された広告を見て、成果の指標を達成することで報酬が発生します。

冒頭でも触れたとおり、報酬の発生にはパターンがあります。大きく分けて以下の5通りです。

報酬形態内容
クリック課金型(PPC)広告がクリックされるごとに報酬が発生
インプレッション課金型広告が表示されるごとに報酬が発生
コンバージョン(CV)課金型広告の目標であるコンバージョン(CV)数に応じて報酬が発生
クッキー型有効期間内にWebサイト全体で到達したCV数に応じて報酬が発生
固定報酬型契約に基づいて、一定の報酬が発生

またアフィリエイト広告の発注方法は、大きく以下の3パターンに分かれています。

  • 広告主とアフィリエイターが直接やり取りする場合
  • 広告主がASPを通してアフィリエイターに依頼する場合
  • 広告主が代理店を通してASPに依頼し、ASPよりアフィリエイターに依頼する場合

リスティング広告とは?

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!によるWeb広告の一つです。検索結果画面に表示されるため「検索連動広告」とも呼ばれています。

リスティング広告はあらかじめ広告主が入札をかけていたキーワードと同じ語句をユーザーが検索した際に、広告が表示される仕組みです。同じキーワードに入札している競合の広告とのオークションが行われ、競り勝った広告から優先して掲載されます。

商品やサービスについてすでに興味関心を持っているユーザーに向けて配信できる広告と言えるため、CVにつながりやすいという特長があります。

リスティング広告についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください。

▼リスティング広告とは? 成果を出すためのチェックポイントを解説

GoogleやYahoo!による広告には、リスティング広告の他、ディスプレイ広告や動画広告といった種類があります。

これらはあらかじめ設定したターゲットや広告の内容に基づいて、用意された配信面に画像や動画を掲載します。

そのため、まだ商品やサービスのことを知らないような、潜在顧客のユーザーに向けて配信が可能な広告です。認知度アップや新規顧客の獲得につながりやすいという特長があります。

アフィリエイトサイトの広告をリスティング広告に出稿することはできる?

リスティング広告の仕組み上、アフィリエイターがアフィリエイトサイトをリスティング広告に出稿することは可能です。

一般的なWebサイトをリスティング広告として出稿するのと同じく、検索結果の上部や下部に表示することができます。なおこの場合、実際に広告を出稿するアフィリエイターの広告アカウントが必要です。

この手法を使うと、より多くのユーザーに表示され、アフィリエイト広告のCTやCVなどが増える可能性があります。そのため過去には広告の成果を上げるための有効な手段として、多くのアフェリエイターに利用されていました。

ただし2022年現在では、法律や検索エンジンの評価基準が変わり、一般的に推奨されていない方法となっています。

推奨されていない理由には、以下のようなものが挙げられます。

  • ユーザーにとってメリットのある広告でないケースが多い
  • 検索エンジンに広告の品質が低いと判断されてしまう
  • 広告内容に問題が合った場合、責任を問われる

ユーザーにとっては、広告主(商品やサービスを販売している企業)が直接出している情報が、最も信用性が高いと言えます。

そのためアフィリエイトサイトが商品やサービスの公式Webサイトよりも上位に表示されても、ユーザーの信頼を勝ち取れない可能性があります。

また事実と異なる広告である場合、検索エンジンからの評価が下がってしまうリスクもあります。広告の品質が低いと評価され、広告キャンペーンの評価が低くなることで、他の広告にも影響が出てしまうかもしれません。

さらにアフィリエイターによるWeb広告が、誇大広告や虚偽広告として法的に問題があると判断された場合、広告主・アフィリエイター双方に責任が問われる可能性もあります。

アフィリエイト広告を取り巻く日本の法律

本来全ての広告は景品表示法によって、“ユーザーに「優良誤認」「有利誤認」を与えるものであってはならない”と定められています。消費者庁では、アフィリエイト広告等に関する検討会を開いて、優良誤認や有利誤認を与える誇大広告への対策を検討しています。

現行法では誇大広告と判断された場合、責任を問われるのは、アフィリエイターではなく広告主です。商品やサービスのイメージダウンにつながってしまうだけではなく、法的に訴えられてしまう可能性があることを知っておきましょう。

その他、著作権法や特定商取引法など、広告に関する法律には、さまざまなものがあります。

例えば2021年8月に改正された薬機法では、課徴金制度や措置命令の範囲が変更になった点が話題になっています。化粧品や健康食品など、薬機法の対象となる商品を取り扱う場合は、アフィリエイターにも責任が問われる可能性が増えていると言えるでしょう。

出典:消費者庁「アフィリエイト広告等に関する検討会」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_003/(2022-05-22)

出典:SankeiBiz「アフィリエイターに措置命令も 改正薬機法で違反広告に課徴金、8月施行」
https://www.sankeibiz.jp/business/news/210731/bsm2107310600001-n1.htm(2022-05-22)

Yahoo!広告ではアフィリエイトサイトの掲載が禁止されている

なお、Yahoo!広告では、基本的にアフィリエイトサイトの出稿を禁止しています。

  • ホワイトリストに入るよう申請し、通過する
  • Yahoo!広告の正規代理店になる

のどちらかをクリアすることで出稿が可能になりますが、原則として有用性のない広告に該当してしまうため、実際には非常に狭き門であると考えられます。

出典:Yahoo!広告ヘルプ「3.広告の有用性について」
https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/guideline/articledetail?lan=ja&aid=13422#c01(2022-05-22)

リスティング広告の出稿を禁止している広告主も多い

前述の通りアフィリエイト広告には、広告主の企業イメージを下げてしまう可能性や、法律に関わるトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。

実際に問題になったケースも増えており、リスティング広告への出稿については慎重になっている広告主が多いです。中にはASPには登録しているものの、リスティング広告への出稿のみを禁止としている広告主も居ます。

またASPがアフィリエイターに対して、リスティング広告を出稿する場合のルールや制限を設けているケースもあります。ASPの一つであるバリューコマース アフィリエイトでは、虚偽表示や広告主の公式サイト・広告と誤認させる内容、古い情報や誤った情報の掲載を禁止しています。

出典:バリューコマース アフィリエイト「リスティング広告利用時の注意点)
https://www.valuecommerce.ne.jp/policy/as/ad_listing.html(2022-05-22)

リスティング広告でアフィリエイトサイトの広告を出稿する場合の注意点

繰り返しになりますが、前提としてリスティング広告でアフィリエイトサイトの広告を出稿することは一般的に推奨されていません。それでも出稿したいという場合は、以下の注意点を踏まえて実施するようにしてください。

アフィリエイターが注意すべき点と、広告主が注意すべき点をそれぞれご紹介します。 

アフィリエイターの注意点

根本的なことですが、Google広告やYahoo!広告のポリシーに違反しないように注意しましょう。事前に公式ルールをしっかりとチェックし、広告ランクを下げないよう、関連性の高いキーワードを選ぶようにしてください。

また広告主が定めている制限もきちんとチェックしておく必要があります。直接やりとりする場合も、ASPを通す場合も必ず広告主の意図に沿った広告を作ります。

最後に、当然ですが法律に違反しないことが重要です。前述した通り、

  • 景品表示法
  • 著作権法
  • 特定商取引法
  • 薬機法

の4つについてはしっかりと理解しておくべきです。

広告主の注意点

広告主の立場では、アフィリエイターが適切な広告を出稿できるように協力しましょう。

商品やサービスの販売戦略や企業イメージといった情報をアフィリエイターにしっかりと伝えるためにも、信頼のできるパートナーを選ぶことが重要です。

代理店はASPに関する知識が豊富なところ、ASPはアフェリエイターに対する規約などを十分に設けているところを選んでください。

なおASPに出す案件には、NGワードなどある程度の制限を付けておくことを推奨します。

まとめ

アフィリエイトサイトをリスティング広告で宣伝することは、現在推奨されていない手法です。どうしても宣伝したい場合は、注意点を必ず守るようにしましょう。

誠実かつ戦略的に宣伝できるよう、信頼できるパートナーを選ぶとともに、仕組みをきちんと理解した上でさまざまな制限を設定してください。