Google広告とは?代表的な広告の種類とターゲティング設定について解説

Web広告の中でも最も有名な媒体の一つがGoogle広告です。Webマーケティングの施策としてWeb広告の配信を行うのであれば、Google広告は有力な選択肢の一つとなるでしょう。

もちろん名前は知っているけれど、具体的にどんな広告を配信できるのかわからない、設定が複雑で難しそう……と疑問や不安を抱えているマーケティング担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、Google広告の概要から、主な広告の種類、Web広告の配信には欠かせないターゲティング設定についてまで、わかりやすく解説していきます。

※本記事の情報は2022年3月時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。

Google広告とは?

Google広告はGoogleが提供しているオンライン広告出稿サービスです。

Google検索の検索結果ページや、YouTubeなどのGoogleの所有するサービスに加えて、3,500万ものWebサイトやアプリに広告を掲載することができます。

Google検索は世界中で利用されている検索エンジンで、日本国内でも検索エンジンシェアのトップを誇っています。(※)

Google広告の最大のメリットは、この多数のGoogle利用ユーザーや、その他さまざまなWebサイトやアプリの利用ユーザーに対して広告を配信できるという点です。しっかりとターゲティングを行って広告を配信することで、それらのユーザーの中にいるたくさんのターゲットに対してピンポイントで広告を表示させることができ、大きな成果を得られる可能性があります。

Google広告は以前は「Google AdWords(アドワーズ)」という名称で呼ばれていました。名称が変更されたのは、2018年7月です。現在でもWeb上では一部「AdWords」という名称が見られますので、Google広告のことを指していると覚えておきましょう。

※参照:Statcounter GlobalStats『Search Engine Market Share Japan』https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/all/japan

Google広告の種類

Google広告にはいくつか種類がありますが、メインとなるのは「Google検索広告」「ディスプレイ広告」「動画広告」の3種類です。

Web広告は配信先や配信形式によって、取り込めるユーザー層が大きく異なるため、自社の商品やサービス、広告配信の目的によって、広告を使い分ける必要があります。上記3つの広告については、後ほど詳しくご紹介します。

Google広告の課金方式

一部例外もありますが、Google広告の課金方式は主に「CPC(Cost Per Click/クリック課金)」と「CPM(Cost Per Mille/インプレッション課金)」の2種類です。CPCの場合は、ユーザーが広告をクリックした際に料金が発生します。広告が何度表示されても、クリックされない限りは料金は発生しません。

一方CPMは広告が1,000回表示されるごとに料金が発生します。設定した予算内でインプレッション数が最大になるように配信されるため、認知拡大を目的とした広告に向いています。

この後にご紹介する「Google検索広告」「ディスプレイ広告」「動画広告」の課金方式は以下の通りです。

CPCCPM
リスティング広告
ディスプレイ広告
動画広告

※動画広告やディスプレイ広告にはCPCとCPM以外の課金方式もあります。

Google広告を配信する際の注意点

Google広告には参入ハードルが低いというメリットがある一方で、その分競合が多く、商品やサービスによっては競争率が高いというデメリットもあります。特に「Google検索広告」は広告の品質や入札価格などで変動する広告ランクによって掲載機会や掲載位置が決定するため、費用対効果の高い広告配信を行うためには、ある程度の運用知識が必要です。自社内に運用を任せられる人材がいない場合は、広告代理店に運用を依頼することも視野に入れた方が良いでしょう。

Google検索広告(リスティング広告)

Google検索広告は、Google検索の検索結果ページに主にテキストで表示される広告です。ユーザーがGoogleで検索したキーワードと、広告主が入札をかけたキーワードが一致した際に、検索結果の上部や下部に広告が表示されるため、「検索連動型広告」とも呼ばれており、最もメジャーなWeb広告の一つです。

検索結果ページには主にリスティング広告と自然検索(広告を除いたキーワードの検索結果)が表示されます。自然検索はGoogleの検索アルゴリズムによって掲載順位がコントロールされており、クリック率の高い上位にWebページを表示させる確実な方法は存在しません。また対策をしても、掲載順位が上がるまでに数カ月単位の時間がかかるケースが多いです。一方広告であれば、広告の品質を高めたり、入札価格を上げたりすることによって広告ランクの改善を目指すことができ、比較的簡単に上位表示を狙うことができます。Google広告の審査は通常1営業日以内に完了するため、設定してから広告枠に掲載されるようになるまでにかかる時間も短いです。そのためすぐに特定の検索キーワードで上位表示させたいといった場合には、Google検索広告が有効なのです。

Google検索広告の掲載の仕組みと広告ランクについては、また後ほどご説明いたします。

Google検索広告(リスティング広告)の課金方式

Google検索広告の課金方式は、ユーザーが広告をクリックするごとに料金が発生する「CPC」です。1クリックあたりの相場は商品やサービスの市場規模によって変わります。ユーザーニーズが高く、キーワードの検索ボリュームが大きくなるほど、クリック単価が高くなる傾向にあるため、多くの予算が必要になります。

Google検索広告(リスティング広告)の掲載の仕組み

検索結果ページに広告が掲載されるまでの大まかな流れは以下の通りです。

広告を表示させたいキーワードと入札価格を登録ユーザーが検索オークションが行われる広告ランクを元に掲載順位が決定し、広告が表示される

入札価格とは広告主が支払っても良いと考える1クリックあたりの金額です。ほとんどの場合、実際に発生する料金はこの入札価格を下回ります。

リスティング広告のオークションは、一般的なオークションのように入札価格のみを争うのではなく、「広告ランク」と呼ばれるスコアで掲載順位を決定します。広告ランクは入札価格の他、広告の品質、広告表示オプションやその他の広告フォーマットの見込み効果などに基づいて算出されます。そのため入札価格が高いからといって必ずしも上位に広告が掲載されるわけではなく、入札価格は安いけれど品質が高い広告が上位に掲載される場合もあるのです。

Google検索広告(リスティング広告)のメリット

Google検索広告のメリットとして、比較的検索結果ページの上位に表示させやすいということが挙げられます。先述したとおり、Google広告の審査は通常1営業日以内に完了するため、早ければ設定を行った当日から広告が掲載されます。広告ランクが高ければ、出稿当日から検索結果の1ページ目上部に広告が掲載されることもありえます。

また成果につながりやすいユーザーにアピールできる点も、Google検索広告のメリットと言えるでしょう。Google検索広告は、自らキーワードを検索したユーザーに対して表示されます。検索をしたということは、ユーザーはそのキーワードに関して何らかの興味関心を抱いており、答えを求めている状態です。広告のテキストにユーザーが求める答えを表示できていれば、クリックにつながり、そのままコンバージョン(CV)する可能性もあります。

Google検索広告(リスティング広告)の注意点

競合が多い場合にクリック単価が想定よりも高くなってしまうことがあります。広告ランクは複数の要素から算出されますが、広告の品質が同程度の場合は、入札価格が高い方が上位表示されやすいため、結果的にクリック単価が高くなるのです。予算内でより多くのCVを得るためには、自社の広告配信のデータや競合の広告などを分析しつつ、入札価格以外の広告ランクに関わる要素や広告文、遷移先のWebサイトなどの改善を繰り返し行うことが大切です。

ディスプレイ広告

Web広告の中でもディスプレイ広告は長い歴史を持っており、「バナー広告」の名称でご存知の方も多いのではないでしょうか。ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告です。画像や動画、テキストを掲載でき、ユーザーが興味を持ってクリックすると、あらかじめ指定しておいたWebページへ遷移します。

ディスプレイ広告の課金方式

ディスプレイ広告の課金方式は、主にCPCとCPMの2つです。商品の購入やサービスの利用登録、資料請求といったCVに至った場合に料金が発生する「目標コンバージョン単価制」という課金方式もありますが、これは多数の条件をクリアしたごく一部の広告主のみが利用できます。

CPCを選択するのが一般的ですが、ある程度のクリック率(CTR)が期待できる場合、CPMを選択することで、費用を抑えて広告運用できる可能性があります。

ディスプレイ広告の掲載先

Googleのディスプレイ広告の出稿先は、「Googleディスプレイネットワーク(GDN)」です。

GDNに広告を出稿すると、GmailやYouTubeといったGoogleが運営するWebサイトの他、3,500万ものさまざまなWebサイトやアプリへ広告を掲載することができます。食べログなどの大手Webサイトから、個人ブログまでが掲載先の対象となります。

GDNでは広告を配信したいターゲットに応じた、配信面のターゲティングが可能です。「キーワード」「トピック」「プレースメント」「インタレスト」「ユーザ」のいずれかの要素で広告を掲載するWebサイトやアプリをセグメントすることができます。

キーワード登録キーワードに関連したWebサイトに広告を配信できるセグメント方法
トピックGDNが用意しているトピックの中から1つ以上選択すると、特定のテーマに関するページに絞って広告を配信できるセグメント方法
プレースメント特定のWebサイトや、Webサイト内の掲載位置を指定して配信できるセグメント方法
インタレストWeb上におけるユーザーの行動履歴データをもとに、ユーザーをターゲティングして広告を配信できるセグメント方法
ユーザ性別や年齢、子供の有無といった特定の条件に沿って広告を配信できるセグメント方法。子供の有無でターゲティングできるのは、GDN独自のもの

ディスプレイ広告のメリット

ディスプレイ広告の一番のメリットは、リマーケティング(リターゲティング)ができることでしょう。リマーケティングとはターゲティング手法の一つで、過去に自社のWebサイトを訪問したことがあるユーザーに対して広告を表示します。自社の商品やサービスについて関心があると思われるユーザーを広告配信の対象にすることで、CTRやコンバージョン率(CVR)の上昇が見込めるでしょう。

またWebサイトを訪問したものの、商品の購入やサービスの利用に至らなかったユーザーに対して再び自社の商品やサービスをアピールすることで、段階的に購買意欲を引き上げ、CVへとつなげることも期待できます。

ちなみに、Google検索広告や動画広告でもリマーケティングが可能です。

ディスプレイ広告の注意点

ディスプレイ広告は配信面のターゲティングなどによって、商品やサービスのターゲットと属性や興味関心が一致するユーザーへ広告を配信することができます。潜在層にもアプローチでき、ブランドや商品の認知拡大を図れるというメリットがありますが、クリックやCVにつながりにくいという側面もあることを知っておきましょう。目的・目標に応じて、広告を使い分けることが大切です。

動画広告

動画広告とはその名の通り、動画で表示する広告のことです。Google広告の動画広告には、YouTubeに掲載する「YouTube広告」と、その他のWebサイトやアプリの広告枠に表示されるものがあります。

動画広告の種類

Google広告の動画広告には「インストリーム広告」、「インフィード広告」「アウトストリーム広告」「バンパー広告」「マストヘッド広告」の5種類があります。またインストリーム広告は「スキップ可能なインストリーム広告」と「スキップ不可のインストリーム広告」の2つに分かれます。

スキップ可能なインストリーム広告動画の前後や途中に再生される広告。5秒後にスキップできる
スキップ不可のインストリーム広告動画の前後や途中に再生される広告で、スキップができない。動画の長さは15秒以内
インフィード広告YouTubeの関連動画や検索結果画面に表示される広告。ユーザーが広告をクリックすると動画が再生される
アウトストリーム広告モバイル専用の広告。Googleと提携しているWebサイトやアプリ、SNSなどの広告枠に動画広告が表示される
バンパー広告動画の前後や途中に再生される6秒の動画広告。スキップができない
マストヘッド広告YouTubeのトップページ上部に表示される広告。広告枠を予約購入して広告を掲載する

動画広告の課金方式

動画広告の課金方式は、広告の種類によって異なります。

スキップ可能なインストリーム広告ユーザーが30秒以上(30秒未満の動画であれば最後まで)動画を視聴した場合、あるいは30秒より前に動画をクリックした場合に料金が発生
スキップ不可のインストリーム広告目標インプレッション単価制:広告が1000回表示されるごとに発生する料金単価を設定し、その範囲内で広告が掲載される
インフィード広告CPC
アウトストリーム広告ユーザーが2秒以上動画を視聴した場合に料金が発生
バンパー広告目標インプレッション単価制
マストヘッド広告日割単価制(CPD):広告枠を1日単位で購入またはCPM:広告が1回表示されるごとに料金が発生

動画広告のメリット

動画広告のメリットとして、視覚と聴覚から商品やサービスの特長をアピールできるという点が挙げられます。

テキストや画像と比べて表現の幅が広く、またユーザーが商品の使用感やサービスを利用している姿を想像しやすいため、CVにつながりやすくなるケースもあります。

動画広告の注意点

動画広告は動画のクオリティが最重要です。最初の数秒間でユーザーの興味を引けなければスキップされてしまいますし、印象に残らなければCVにもつながらないでしょう。広告配信のデータを分析して改善を重ね、動画をブラッシュアップしていく必要があります。

また自社に動画を制作できる環境があればあまり問題ありませんが、他社に制作を依頼しなければならない場合は、制作期間や費用に注意が必要です。

スケジュール通りに広告の出稿やクリエイティブの変更を行うためには、動画の制作や編集にかかる時間を考慮して依頼をしなければなりません。

また費用によってクオリティに差が出ることも考えられるので、事前にサンプル動画を見せてもらうようにしましょう。

Google広告のターゲティング設定

Google広告に限らず、Web広告では商品やサービスのターゲットに広告が配信されるよう、ターゲティングの設定を行うことが一般的です。ここからはGoogle広告のターゲティング設定について解説していきます。

Google広告ではターゲティングによって特定のユーザー層、または、特定のコンテンツに向けて広告を配信することができます。選択できるターゲティングの種類は、広告の種類によって異なります。

ユーザー層のターゲティング

ユーザー層のターゲティングでは、自社のWebサイトを訪れたことがあるといった条件や、年齢、性別といった属性によって、広告を配信するユーザーを絞り込むことができます。

主なターゲティングの種類は「リマーケティング」「オーディエンス ターゲティング」「ユーザー属性ターゲティング」「カスタマー マッチ」の4種類です。

リマーケティング自社のWebサイトを訪れたことがあるユーザーや、自社のビジネスと接点があったユーザーに絞って広告を配信する
オーディエンスターゲティングユーザーの興味関心に基づいて広告を配信する。豊富なセグメントの中から、興味関心の対象やその他の条件を選択すると、そのカテゴリに当てはまるユーザーにターゲットが絞り込まれる
ユーザー属性ターゲティングユーザーの属性に基づいて広告を配信する。選択できる属性は主に年齢、性別、世帯収入、子供の有無の4つ
カスタマーマッチ広告主が持つ顧客リストをアップロードし、そこに含まれるユーザーに絞って広告を配信する

コンテンツターゲット

コンテンツターゲットは、ディスプレイ広告のターゲティング手法です。広告主が指定したキーワードやトピックに基づき、関連するWebサイトに広告を掲載します。

自社に合ったGoogle広告の選び方

Google広告にはここまでご紹介した3種類以外の配信方法もあり、成果を出すためには、目的や目標などに応じて使い分ける必要があります。ここからは自社に合ったGoogle広告の配信方法を選ぶための2つの考え方をご紹介していきます。

目的・目標で選ぶ

Google広告の配信方法を選ぶ上で最初に考えたいのが、広告配信の目的・目標です。企業やブランドを知って欲しい、Webサイトを見て欲しい、商品の購入やサービスの利用登録、資料請求などをして欲しいといった目的・目標に応じて、選ぶべき広告が異なります。例えば潜在層への認知拡大が目的なのであれば「ディスプレイ広告」や「動画広告」が適していますし、購買行動や資料請求などのアクションにつなげることが目的なのであれば「リスティング広告」が適しているでしょう。ちなみに商品の購入が目的であれば、ご紹介した3つの広告の他、「ショッピング広告」が適しているケースもあります。それぞれの広告の得手不得手を知った上で、目的・目標に適した配信方法を選択しましょう。

商品・サービスによって選ぶ

商品やサービスには、テキストや画像のみでも十分にアピールできるものと、動画の方が効果的にアピールできるものがあります。例えば商品の見た目やブランドのロゴなどをアピールしたい場合は、「ディスプレイ広告」でも全く問題ないでしょう。一方で、商品の使い心地やサービスの利用イメージなどをアピールしたい場合は、「動画広告」の方がわかりやすくて効果的です。商品やサービスの性質や、アピールしたいポイントに応じて、最も簡潔にメッセージを伝えられる配信方法を選択しましょう。

Google広告を運用する上でコンバージョントラッキングタグの設定は不可欠

コンバージョントラッキングタグとは、広告をクリックしてWebサイトへアクセスしたユーザーがCVしたかどうかを計測するためのスニペットです。

コンバージョントラッキングタグをWebサイトの「購入完了ページ」や「登録完了ページ」に設置することで、広告から流入してCVに至った数がわかるようになります。ボタンのクリックなどをCVとして計測することも可能です。

コンバージョントラッキングタグを設置しなければ、広告をクリックしてから先のWebサイト内での行動を把握することができず、Google広告の管理画面上では、広告のクリックはされているけれどCVには至っていないというデータになってしまいます。

Web広告の運用では、広告配信のデータに基づき、定期的にクリエイティブや設定の調整を行うことが重要です。正しいデータを取得できなければ、正しく改善して成果を上げることができないでしょう。

コンバージョントラッキングタグの設置は簡単で、Google広告の管理画面からスニペットを作成し、CVを計測するページ(購入完了ページや登録完了ページなど)のheadタグ内に追加するだけです。

設置したら必ずテストを行い、正常に計測できているかを確認しましょう。CVの計測ができていない場合は、記述ミスや設置漏れがないか見直してみてください。

まとめ

Google広告の配信は、Webマーケティングを行う上で外せない施策の一つです。商品やサービス、目的・目標、ターゲットなどに応じて、複数の配信方法を使い分けられるのがベストですが、全ての配信方法を使いこなすのは至難の技。まずは配信方法を1つ選び、その広告の最適化を目指していくのがおすすめです。

自社でGoogle広告の運用に注力するのが難しいという場合は、広告代理店に依頼するというのも一つの手です。手数料はかかりますが、自社で運用を疎かにしているよりも高い成果が期待できるでしょう。

Google広告を上手に活用し、Webマーケティングによる成果の最大化を目指していきましょう。