Google広告の設定は「アカウント」「キャンペーン」「広告グループ」という3つの要素で構成されています。キャンペーンは一つのアカウントの中にある最も大きな要素で、複数作ることができ、最大で1万個作成できます。広告グループはキャンペーンの下の階層に位置します。こちらも複数作ることができ、1キャンペーン内に最大で2万個作成できます。
キャンペーンと広告グループの設定にはマーケティング戦略を反映できるため、適切な内容にすることで、広告の成果に差が出てくるでしょう。
本記事ではそんな「キャンペーン」と「広告グループ」の設定について、それぞれの内容や使い分けの方法、設定する際に考慮したいポイントを解説します。専門用語を理解するだけでなく、設定方法を身に着けて、Google広告を活用しましょう。
※本記事の情報は2022年3月時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。
Google広告のキャンペーンとは?
Google広告のキャンペーンでは、予算やターゲティングの設定を行えます。キャンペーンで設定した内容は、そのキャンペーン内にあるすべての広告へ適用されます。そのためキャンペーンの設定を適切に行うことで、広告の一括管理が可能になります。
施策ごとに各広告の予算を分けたい場合や、施策ごとに配信エリアを分けて異なる商圏に届けたい場合は、別のキャンペーンを作成する必要があります。反対にすべての広告の費用を共通の予算でまかない、ターゲット地域もすべて同じにする場合は、キャンペーンは一つだけでも問題ありません。
キャンペーンで設定する内容
それぞれのキャンペーンには管理用の名前を付けられます。分かりやすい名称を付けるのが良いでしょう。
その他設定できる主な項目は以下の通りです。
目標
目標の項目では広告の配信目標、または目的を設定しないことを選択できます。選択肢は以下の通りです。
- 販売促進
- 見込み客の獲得
- ウェブサイトのトラフィック
- 商品やブランドの比較検討
- ブランド認知度とリーチ
- アプリのプロモーション
- 目標を指定せずにキャンペーンを作成する
広告配信を行う商品やサービスのマーケティング戦略に適したものを選びましょう。
キャンペーンタイプ
キャンペーンタイプでは以下の中から広告の種類を選びます。
種類 | 内容 |
検索広告 | 検索結果画面に表示される、主にテキスト形式で表示される広告。リスティング広告 |
ディスプレイ広告 | Webページ内やアプリ内の広告枠に表示される、画像や動画、テキストのイメージ広告 |
動画広告 | YouTube上などに表示できる動画形式の広告 |
アプリ広告 | ダウンロードなど、アプリについて宣伝できる広告 |
ショッピング 広告 | 検索結果、 Googleショッピングタブなどに表示される広告 |
地域広告 | 実店舗やイベント会場を宣伝できる広告 |
こちらもマーケティング戦略に基づいて、適切なものを選びましょう。
ネットワーク
ネットワークでは、配信先の選択ができます。検索ネットワークやディスプレイネットワークを含めるかどうかを、チェックボックスで選べます。検索ネットワークとは、検索に関連するさまざまなWebサイトやアプリのことです。ディスプレイネットワークとは、YouTube、Blogger、GmailといったGoogle関連のWebサイトと、その他の提携している3,500 万ものさまざまなWebサイトのことです。
検索広告とディスプレイ広告の両方にチェックを入れることもできます。両方にチェックを入れておくと、検索広告枠で余った予算を使って、ディスプレイの広告枠に「検索テキスト」を表示できます。
※出典:ディスプレイ広告と Google ディスプレイ ネットワークについて
デバイス
広告を掲載するデバイスの種類を選べます。パソコン、タブレット、スマートフォンなどが対象となります。後から変更も可能です。
地域と言語
広告を配信する地域として、「すべての国と地域」「日本」「別の地域を入力する」の3つが選択可能です。より詳細まで絞り込む場合は「別の地域を入力する」を選び、表示された入力欄に都市名などを入力してください。
目標や除外する地域も選べます。ターゲットとして設定した地域について、「その場所にいるユーザーと興味を持っているユーザーを配信対象とする」「所在地があり定期的に訪問しているユーザーを配信対象とする」といった工夫ができます。除外についても同様に、範囲を選択できます。
言語設定では、広告配信対象となるブラウザの言語を指定することが可能です。例えば国内のユーザーの内、日常的に英語で検索するユーザーをターゲットにしたい場合などは、言語設定を英語にしておきましょう。狙った層のユーザーもしくは近い層のユーザーへその広告を配信できるはずです。
入札単価と予算
入札単価では、重視する要素を「コンバージョン」「コンバージョン値」「クリック数」「インプレッション シェア」の中から選びます。それぞれの詳細は以下の通りです。
要素 | 詳細 |
コンバージョン | 設定したコンバージョン数が最大になるようにする |
コンバージョン値 | 収益と費用の比率を表す「目標広告費用対効果(ROAS)」が目標値になるようにする |
クリック数 | クリックされる回数が最大になるようにする |
インプレッションシェア | 「実際の表示回数 ÷ 表示される可能性があった回数」が目標値になるようにする |
広告の予算はキャンペーン単位で設定できます。1日に使いたい広告の費用を「1日の平均予算」という項目で設定します。この1日の平均予算は設定した金額から最大2倍程度まで上振れることがありますが、1カ月あたりに換算すると、1日の平均予算×30.4倍以内に収まるような仕組みになっています。
「共有予算」として、他のキャンペーンと予算を共有することも可能です。
広告表示オプション
広告表示オプションでは、より多くの情報を登録することで、広告に表示できる情報量を増やすことができます。会社や店舗の住所、Webサイトのページへのリンク、電話番号といった項目があります。設定は任意ですが、広告ランクの評価にも関わるため、可能な限り登録しておくことをおすすめします。
その他の設定
上記の他にも、さまざまな設定が可能です。キャンペーンの開始日と終了日を指定したり、時間帯、曜日を指定したりして、配信するタイミングをコントロールできます。
またタイミングが偏らないよう、1日を通して均等に広告を配信するような設定も可能です。
出典:Google広告「キャンペーン設定について」
効果的なキャンペーンを作成するための 8つの手順
キャンペーン設定における4つのポイント
キャンペーンの設定を変えると広告の配信面が変わり、広告を目にするユーザーが変わるため、CV数などの広告の成果に大きく影響します。そのためキャンペーンを設定する際は、ただ項目を選べばいいというわけではありません。広告の精度を上げるためには、よりターゲットにリーチしやすい設定にする、利益率を考慮した予算組みをするといった戦略が必要です。
PRしたい商品やサービスに適した戦略を立て、それに基づいてキャンペーンの設定を行いましょう。設定作業の際は、以下のポイントに注意してください。
1.具体的な目標を決める
広告出稿によって成し遂げたいことがはっきりとしていなければ、戦略の立てようがありません。工夫してよりよい設定を目指すために、具体的な目標を定めておきましょう。
具体的な目標は、キャンペーンの目標設定に落とし込みます。初期段階や拡大段階のビジネスでは、商品やサービスについてユーザーに関心を持ってもらうことが目標となるケースが多いです。この場合まずは認知してもらう必要があるため「ブランド認知度とリーチ」を選びましょう。
商品の購入を検討する、サービスについての詳細を探すといった行動をユーザーに起こして欲しいのであれば、「商品やブランドの比較検討」にしてください。集客したいWebサイトがあるならば、「ウェブサイトのトラフィック」を選びます。PRする商品やサービスによっては「見込客の獲得」や「販売促進」の方が適しているケースもあります。それぞれの目標に合ったものを選びましょう。
またこれらを設定しておくと、目標達成に近づけるために役立つ機能や設定を、Googleがおすすめしてくれます。
例えば目標を「販売促進」で設定すると、クリックを促すための入札戦略や、見込み顧客がWebサイトを閲覧するタイミングを狙って広告を表示させる機能などが使えるようになります。「ウェブサイトのトラフィック」なら、商品に関連した検索をしているユーザーに直接広告を表示させる機能や、関連性の高い広告見出しを自動的に挿入する機能などが使えるようになります。
2.予算の配分を意識する
前述の通りGoogle広告では、予算を設定したら原則その範囲内で広告を配信します。ひと月当たりの合計費用が設定した平均予算の合計に近づくように調整しながら、予算に達した時点で広告配信を自動的にストップします。そのため予算設定は、表示期間や表示回数に直結する重要なポイントです。
基本的には、1日の平均予算を設定することで予算を分配します。この平均予算を決めると、検索数が多いタイミングやCVRが高いタイミングで強弱を付けるといった効率的な予算消化が、自動で行われていきます。
例えば、1日の平均予算を1万円と設定した場合、効果の出やすいタイミングが多い日は1万5,000円分の予算が使われることがあります。そうではない別の日には5,000円のみ消化されことがあります。月間の費用を平均すると1日あたり約1万円となるようにプログラムが組まれます。
1日の平均予算入札単価の設定によっても決まります。キーワードごとに単価がある程度決まっており、人気のキーワードは入札単価を高めに設定しなければ表示回数が増えません。とはいえ商品の粗利に合わない金額を設定してしまうと、利益率が下がるばかりです。利益が出る範囲で、できるだけ多くの表示とクリックを狙えるように、入札単価を設定していく必要があります。
タイミングによって分配される予算に変動があることを理解した上で、入札単価の設定を戦略的に行うと、費用対効果の改善につながります。
3.商材とターゲットに合わせてキャンペーンタイプを選定する
キャンペーンタイプはそれぞれ、異なる特長を持っています。配信面が違うのはもちろん、表示される仕組みやメインとなるターゲットが違います。商品やサービスの特長と、狙いたいターゲットを考慮した上で、どのキャンペーンタイプにするかを決めましょう。各キャンペーンタイプの中でも、特に戦略を反映しやすいのは「検索広告」「ディスプレイ広告」「動画広告」の3つです。
検索広告は主に、購買意欲を自認している顕在層に有効です。検索エンジンを利用して、興味関心のあるキーワードを自ら調べているユーザーが対象となるからです。例えば自社の商品やサービスに関連するキーワードを設定して広告を配信すると、コンバージョンにつながりやすいと考えられます。
ディスプレイ広告は、広告を見ることで商品やサービスに興味関心を持ちそうな、潜在層にアプローチが可能です。ターゲティングによって、明確な購買意欲を感じていないユーザーにも広告を配信します。ユーザーの意思とは関係なく広告が表示されるため、PRしたい商品やサービスの認知拡大が期待できます。
動画広告は、商品やサービスの特長をユーザーの目と耳にアピールできる広告です。文字や画像だけの広告よりも表現の幅が広くなります。商品を使用している姿や、サービスを利用する前後の姿といった一連の情報を、動画の中で伝えられます。興味を持っているユーザーにとって、購入するメリットをイメージしやすくなるため、そのままCVにつながるケースもあるでしょう。
4.コンバージョンアクションの設定を行う
コンバージョンアクションとは、ユーザーが遷移先のWebサイトや広告内で行う、特定の行動を指す言葉です。コンバージョンの設定はアカウント単位で行います。複数パターン設定された特定の行動を、キャンペーン内で指定することができます。
Web広告は、運用開始後に分析と改善を繰り返すことで、精度を高めていくことが重要です。分析に必要な数値を正確に計測するためには、コンバージョンアクションの設定をしっかり行う必要があります。
例えば商品の購入をコンバージョンとする場合、単に購入数をカウントするだけでなく、ショッピングカートへの商品追加をコンバージョンとして指定するなどの工夫が可能です。ショッピングカートへの商品追加をコンバージョンアクションとして登録をしておくことで、ショッピングカートへの追加数に対して実際に購入された数の割合を分析することができ、ショッピングカートの改善に役立つデータを得ることができます。
また商品価格に合わせてコンバージョン値を変動させることも可能です。コンバージョン値を一定にしている場合、1,000円の商品が1つ売れた場合と10万円の商品が1つ売れた場合、売上が大きく異なるにも関わらず、コンバージョンは同じ1となってしまいます。
コンバージョン値を設定しておけば、1,000円の商品のコンバージョン値は1,000、25万円の商品のコンバージョン値は250,000といった差をつけることが可能です。コンバージョンごと差をつけておくことで、分析に必要な情報を正確に出せるでしょう。
Google広告のグループとは?
各キャンペーンの中にある広告グループでは、似通ったターゲットの広告や同じテーマを持つ広告、キーワードなどの要素をまとめて管理します。どのような広告文をローテーションで表示させるのかを、設定することも可能です。それぞれの広告について個別に設定することもできます。
広告グループで設定する内容
広告グループは、キャンペーンの中に作成します。キャンペーンの作成中に、広告グループを作ることも可能です。キャンペーンと同様、広告グループには管理用の名前を付けられます。
作成の際は、個別に作る方法と、複数をまとめて作る方法があります。設定できる主な項目は以下の通りです。
入札単価
キャンペーンでも設定できましたが、広告グループ単位でもデフォルトの入札単価を決められます。その場合はキャンペーンの入札単価を、個別単価設定にしておきます。
なおキーワードや配信エリアに入札単価を設定している場合は、個別の入札単価が優先されます。設定の際は気をつけましょう。
モバイルの入札単価調整
パソコン、モバイル、タブレット、テレビ画面、上位のコンテンツの中から選べます。この設定は省略可能です。
ディスプレイネットワーク設定
広告グループの掲載範囲となる、ディスプレイネットワークの設定をします。この設定は省略可能です。
- 個別の入札方法
- ターゲティング方法の最適化
- 柔軟なリーチ
の中から選べます。
柔軟なリーチを選ぶと、「ターゲティング」のオプションとしてプレースメント、性別、年齢などが指定できます。これにより広告の配信先がさらに絞りこまれます。「モニタリング」のオプションを選択することもでき、活用すると、広告を配信するユーザーを絞り込まずに指定のターゲットに配信した広告の結果を観測できるようになります。
個別の入札方法は、広告グループに複数の入札方法が含まれる場合に有効です。使用する入札方法を指定できます。ここで指定しない場合は、先述したデフォルトの入札単価になります。
ターゲティング方法の最適化は、 キャンペーン内のディスプレイ広告の設定で「ターゲティングの積極的な拡張」「ターゲティングの慎重な拡張」を選んだ場合などに選択します。
広告グループの使い分け
広告グループは具体的なテーマごとに使い分けるのがおすすめです。先ほどの美容関連の商品の例で言えば、ジャンルごとに分けたキャンペーンの内「美容家電」の中に、「脱毛器」「美顔器」「マッサージ器」といった商品ごとのグループを作るようなイメージです。商品やサービスの種類の分だけデータの量も増えるため、初めから整理しておき、編集や分析を行いやすい状態にしてください。
また各広告グループには3つ以上の広告を用意しましょう。ユーザーの心理は十人十色です。傾向を予想して広告の内容を作ることはできるものの、その精度を上げるためには、テクニックや経験が必要となります。1つの広告だけでは、配信後に改善点や良かった点を比較できません。データを集めて分析するために、ローテーションで複数の広告を表示させるのがおすすめです。
広告グループ設定における3つのポイント
コンバージョン率を高めるためには、広告グループで上手に広告設定をする必要があります。
ここで効果的な広告グループを設定するためのポイントについて見ていきましょう。
1.あらかじめ作成する広告グループを計画しておく
広告グループは編集を行うと、それまで蓄積してきた運用データを失ってしまう場合があります。余計な編集をしないで済むようにするために、情報を整理しながら作成することが重要です。計画的に作られた広告グループなら、先にご紹介した通り編集や分析が行いやすくなるだけでなく、後から整理し直す必要もなくなります。
商品やサービスのラインナップ・全体像を見て、「どのようなグループが必要か」「各グループのテーマはどんなものにするか」といった内容を、あらかじめ計画しておきましょう。
2.広告グループのテーマや目標を考慮する
それぞれの項目の内容は、広告グループのテーマや目標に適したものにしてください。例えば、販売促進を目標としたリスティング広告ならば、キーワードと広告の内容は関連したものにしておきます。自分が検索した語句に関連した広告が表示されるため、ユーザーは検索目的に応じた内容の情報ととらえてくれるはずです。
目標を考慮することも重要です。例えば、化粧水を売るためのリスティング広告を作成し、キーワードに「化粧水 効果」と設定するとします。広告が表示されるユーザーの中には「どんな効果の化粧水があるのか比較したい」人もいれば、「持っている化粧水の効果を調べたい」人もいるでしょう。商品やブランドの認知を拡大させるためには有効かもしれませんが、購入意欲のないユーザーに広告をクリックされた場合は費用だけがかかってしまい、売上につながりません。
一方で「化粧水 ニキビ おすすめ」といったキーワードを設定するとします。ニキビケアにおすすめの化粧水を探しているユーザー中心に配信するよう絞り込めるでしょう。世の中で勧められている商品を検索しているということは、購入意欲が高いユーザーであると予想できます。このように、より購買意欲の高いユーザーを絞り込めるようなキーワードを探すのが有効です。
3.タイトルにキーワードを含め、内容を工夫する
テキストが表示される広告の場合、広告グループで作成する広告のタイトルには、極力キーワードを含めるようにしてください。検索した語句に関連する広告の方が、ユーザーが欲しがる情報となるはずです。
また商品やサービスの独自の魅力を、オリジナルの言葉で完結に伝えられるようなタイトルにするのも大切です。クリック率(CTR)にも大きく影響するので、競合のWebサイトなどを参考にしながら、しっかりと「どんなタイトルが良いか」を考えましょう。文章を読んだユーザーが、アクションを起こしたくなるような内容にするのがおすすめです。
まとめ
Google広告では、キャンペーンや広告グループをしっかりと作り込むことで、戦略的な広告の配信が可能となります。今回ご紹介した内容を参考にGoogle広告を配信し、分析と改善を繰り返しながら精度の高い広告運用を目指してください。
自社で作り込んだ広告の運用を行うのが難しい場合は、広告代理店へ依頼するのも一つの手です。一定の費用はかかりますが、専門家によるキャンペーンや広告グループの設定によって、高い成果を期待できるはずです。
Google広告を活用して、Webマーケティングを成功させましょう。